理学部生物分子科学科

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制限酵素 (restriction enzyme)

 細菌は、バクテリオファージの感染など外からの侵入に対して身を守る防御機構を備えており、外来の DNA を自分自身が持つエンドヌクレアーゼによって分解し、ファージの増殖を“制限 (restriction)”する。この制限能に関わるエンドヌクレアーゼが制限酵素であり、制限エンドヌクレアーゼともよばれる。
 制限酵素は、二本鎖 DNA の特定の塩基配列を認識して結合し、切断する。切断に必要な因子や切断の仕方(位置)によって I~III 型の 3 種類に分けられる。I 型、III 型は切断部位が一定でないのに対し、II 型は特定の部位を切断するため、一般に遺伝子組換え実験には II 型酵素が用いられる。
 II 型制限酵素は、多くの場合、4~8 塩基対 (bp) から成る相補鎖の配列も互いに同じであるパリンドローム(回文)配列を認識し、配列内部の対称的な位置を切断する。切断された末端部分は、切断位置によって突出末端(粘着末端)または平滑末端となる。制限酵素の認識配列と切断部位(↓)および切断後の末端部分の配列の一例を示す。
 〈突出末端を生じる場合〉
   5’— G↓GATC C —3’      5’— G 3’    5’ GATCC —3’
   3’— C CTAG↑G —5’      3’— CCTAG 5’    3’ G —5’
 〈平滑末端を生じる場合〉
   5’— CCC↓GGG —3’      5’— CCC 3’   5’ GGG —3’
   3’— GGG↑CCC —5’      3’— GGG 5’   3’ CCC —5’

 制限酵素の名前は、単離された細菌の学名に基づいて命名されており、学名の属の最初の 1 文字と種の最初の 2 文字から成る 3 文字をイタリックで表し、続いて菌株または型の 1 文字を表す。1 つの細菌が複数の制限系を持っている場合、ローマ数字で区別する。例えば BamHI は Bacillus amyloliquefaciens H 株、EcoRI は Escherichia coli RY13 株から由来する酵素である。

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