理学部生物分子科学科

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葉 (leaf)

 葉は、茎のまわりに規則的に配列している器官(側性器官)である。多くは扁平な形をしているが、様々な形のものがある。一般に、成熟した葉は光合成を行い、同化産物を他の器官に供給している。このような器官は「ソース(sourse)」とよばれる。
 維管束植物は基本的に同じ体制を持っている。一組の茎・葉・側芽(腋芽)を構造単位として、これが次々に積み重なって成長していくので、植物体の最終的な形状はおかれた環境で変わる。
 成長にともなって、茎の先端(頂端)から新しい茎と葉がつくられるとともに、種子植物では側芽が葉の上の部分の茎側(葉腋)につくられる。腋芽の頂端分裂組織は主軸の頂端分裂組織と同じ性質をもつ。頂端分裂組織によって植物は環境がゆるせば永続的に成長を続けることができると考えられている。
 葉の原基は茎頂分裂組織の側方に表皮の数層の細胞層から発生し、そこにできる「葉の頂端分裂組織」が分化成長して一枚の葉に成長する。葉は茎に規則的に配置されて種に特有な形態を作りだす。成熟した葉には寿命があり時期がくれば落葉する。脱離は離層とよばれる細胞の層で起き、落葉すると茎には葉痕が残る。
 成長した葉は、基本的には表皮系・基本組織系・維管束系から構成される。
 表皮系は、表皮細胞・気孔装置(孔辺細胞と副細胞によって作られる孔)・水孔・毛などから構成されている。表面がクチクラや蝋(ろう)でおおわれることも多い。気孔が開くと、水は内から外気に、二酸化炭素は外気から内に向かって拡散する。光合成に必要な二酸化炭素を取り込むためには、水が失われることになる。C3植物では1グラムの乾物を生産するために必要な水の量(要水量)は、450から950 gにもなる。一方、蒸散によって根から葉へ水を引き上げ、根からの物質が葉に供給される。また昼間の葉の温度を維持するためにも蒸散は必要である。陸上植物は乾燥した大気の中で二酸化炭素の吸収と蒸散を気孔の開閉によって調節している。
 基本組織系では葉肉細胞が特徴的な構造を示している。細胞は葉緑体に富み同化産物を供給する。形態は植物の種によって、また生理生態的な条件によって大きく変わるが、柵状組織と海綿状組織がみられるものが多い。柵状組織は葉の光があたる側(向軸側)に縦に長い細胞が規則的に並んで構成される。その下側の海綿状組織は細胞の形は不規則で柵状組織より細胞間隙(空気)のしめる割合が大きく、気孔を通った二酸化炭素は気相を拡散していく。葉は太陽光を効率よく利用できるように、さらに二酸化炭素がおのおのの葉緑体に行渡るように組織されていると考えられている。
 維管束系(葉脈)は茎の維管束と接続しているので、葉の上側(茎側)に木部、下側に篩部がある。葉肉内の葉脈の分岐のしかたは多様で発生的に興味が持たれている。維管束系の木部は根からの水の経路である。篩部は葉肉細胞で合成された有機物を、分裂組織や根や花に分配するための経路である。葉肉細胞で合成されたショ糖はシンプラストとアポプラストの両経路で篩部に輸送されていく。

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