理学部生物分子科学科

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蛍光タンパク質と2つのノーベル賞

2008年のノーベル化学賞は、下村脩、マーチン・シャルフィー、ロジャー・ Y.・チェンの3氏に贈られました。授賞理由は「緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)の発見と応用」です。GFPは緑色の蛍光を発するタンパク質で、オワンクラゲから発見されました。
遺伝子組み換え技術を使うと、生きたままの細胞内で注目するタンパク質と蛍光タンパク質が融合したタンパク質を作ることができます。これを蛍光顕微鏡で観察すると、注目するタンパク質の位置や変化を調べることができます。このため、蛍光タンパク質は生命現象のイメージング(生細胞観察)を可能にするレポーターとして、生命科学分野の研究に欠かせないツールになっています。電子顕微鏡で観察するのが死んだ細胞だということを考えると、蛍光タンパク質の重要性は明らかですね。現在、さまざまな色、さまざまな機能を持つ蛍光タンパク質の開発が進められています。

図1.さまざまな色の蛍光タンパク質

そして蛍光タンパク質の開発は、再びノーベル賞へとつながりました。2014年のノーベル化学賞は、エリック・ベッツィヒ、ステファン・ヘル、ウィリアム・モーナー博士に贈られました。授賞理由は「超解像顕微鏡の開発」です。

図2(左)は、従来の顕微鏡で観察した細胞内小器官のひとつであるリソソームの画像です。この画像で見るとリソソームの膜(赤い部分)の厚みは約500ナノメートル(0.5マイクロメートル)ありますが、本当は約5ナノメートルです。つまり像がぼやけてしまっているのです。これは光の性質によって決まる「解像度」によるもので、従来の方法では200ナノメートル以内の距離にある分子を区別することはできません。

その限界を超えたのが超解像顕微鏡です。図2(中)は、同じリソソームを超解像顕微鏡で観察した画像です。膜部分が薄く鮮明に見えるようになりました。さらに拡大した図2(右)ではタンパク質一つ一つが区別して見えます。タンパク質の大きさは約4ナノメートルです。これが「超解像」です。

このような超解像の画像撮影には、新しく開発された「光スイッチング型蛍光タンパク質」が利用されています。細胞内に大量に発現(生成)した蛍光タンパク質のごく一部だけを光によって蛍光が出る状態にして(光スイッチング)、像がぼやけるのを抑えているのです。
図2. サル腎臓由来繊維芽細胞内リソソームの蛍光顕微鏡画像:従来の全反射照明蛍光顕微鏡(左)で観測するとぼやけてしまう輪郭が、超解像顕微鏡の一つである光活性化局在顕微鏡(PALM)(中・右)を用いるとはっきりと観測できる。リソソーム膜に光スイッチング型蛍光タンパク質PA-Kaedeが発現している(Betzig et al., Science, 2006, 313, 1642-1645。The American Association for the Advancement of Scienceより許可を得て転載)。

これからもいろいろな蛍光タンパク質を使って、未知の生命現象の解明が進められていくのは間違いありません。
二つのノーベル化学賞について詳しくは次のページをご覧ください。
(分子科学部門 生物分子分光学研究室 細井晴子)

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