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プレスリリース 発行No.698 平成28年7月29日

30代、40代の女性に特に多い「片頭痛」
~ 「緊張型頭痛」との違いを理解して早めの治療を ~

 東邦大学医療センター大森病院 心療内科(東京都大田区大森西6-11-1、教授:端詰勝敬)では、過敏性腸症候群や頭痛などの「心身症」や摂食障害、軽症うつ病、パニック障害について、臨床を通じ知見の蓄積に努めています。
日本では、2,800万人以上が慢性の頭痛で悩んでいるといわれます。このような頭痛に対し、じっと耐えている人や市販の痛み止め薬で対処してしまう人も多いようです。それが症状の悪化につながるケースもあります。当レポートでは、心療内科の視点も交えながら、頭痛に関する正しい知識や対処法についてお伝えします。


 医学的に頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に大別されます。一次性頭痛は、血管や神経の機能の異常で起こり、「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発頭痛」(周期的に発生し、最も痛みを伴う頭痛で、痛む部位が眼球の奥なのが特徴)の三つがあります。慢性の頭痛の大半は片頭痛と緊張型頭痛です。一方、二次性頭痛は、脳卒中や脳腫瘍などの疾患により二次的な症状として起こり、その原因は多岐にわたります。

緊張型頭痛とは?

 緊張型頭痛は、一次性頭痛の中で最も一般的なもので、その特徴は次の通りです。
●痛み方:頭全体が締め付けられるような鈍痛がある。
●頻度:同じような痛みが毎日、週2~3日起こる。(午後から夕方にかけて悪化する。)
●痛みの強さ:休みたくなるほどではなく、家事や仕事も何とかこなせる。
●頭痛以外の症状:肩こりや不安感が伴う場合も。
●片頭痛との違い:片頭痛でよくみられる悪心、嘔吐、羞明、音過敏、光過敏は少ない。

 患者さんによって対処法は違うものの、筋肉を緊張させないように同じ姿勢を続けないこと、そして、できるだけ身体を温めるのも有効です。受診する場合は、専門医の指示に従いながら、適正な治療を行っていくことが大事です。

片頭痛とは?

 片頭痛は、緊張型頭痛より患者さんの数は少ないものの、受診する数ではこれを上回ります。女性の30歳代、40歳代に多い症状で、男性の3倍以上の患者さんがいます。 
片頭痛の特徴は下記のとおりです。
●痛み方:ズキズキ、ガンガンといった拍動性の痛みがある。
●頻度:痛む時間は4~72時間。
●痛む場所:頭の片側または両側。
●痛みの強さ:何もしないでじっとしていたい。
●頭痛以外の症状:頭痛が起こる前に、光や音、においに敏感になる。吐き気を伴いやすい。

 片頭痛を引き起こす誘因は、睡眠不足、睡眠過多、ストレス、疲労、天候、食事など様々です。どんな時に片頭痛が起こりやすいか、日ごろから気を付けるようにすることが、その予防につながります。
 近年の研究によると、片頭痛の発症には、三叉神経(顔の感覚を脳に伝える神経)が関わっていることがわかっています。まず、何らかの誘因による刺激によって、脳内の血管が拡張します。その拡張などによって周囲の三叉神経を刺激し、中枢神経を介して脳に痛みとして、繰り返し伝わるという仕組みです。

片頭痛とストレスの関係

 片頭痛には上記のような発症要因によって、頭の血管が過度に拡張して起こります。このため、規則正しい生活を心がけることで、頭痛の発症をある程度抑えることができます。心療内科で治療する患者さんに多いのは、疲労、睡眠、ストレスなどです。

 発症時に、安静にすることで症状が緩和するケース、逆に軽いウォーキングをしたり、体を動かして気を紛らわしたりすることで、頭痛が和らぐこともあります。ストレスをため込んでいるときばかりではなく、ストレスから解放された状態が片頭痛を引き起こすこともあるからです。

 家庭や仕事、そして人間関係といったように人によってストレスと感じるものは違います。片頭痛とストレスの関係は複雑ですが、その原因と感じるものを取り除き、環境を変えることが症状の改善の第一歩です。

片頭痛を治療するポイント

 片頭痛を治療するポイントは、片頭痛を誘発するような環境に身を置かないことが第一ですが、薬による治療法には二種類あります。それは、頭痛発作のときの痛み止めの役割を果たす「急性期治療」と発作を起こりにくくするために毎日服用する「予防的治療」です。

 急性期治療で注目されている薬として「トリプタン製剤」があります。鎮痛薬は炎症を抑える働きが主であるのに対して、トリプタンは炎症を抑えるだけでなく、片頭痛の痛みの発生や血管の拡張抑制などに効果があります。頭痛の初期段階での服用により、効き目が高まります。

 急性期治療薬だけでは、頭痛による日常生活の支障を回避できないケースで予防的治療薬が用いられます。

 一口に頭痛といってもその特徴や対処法は異なり、ストレスなど心理社会的要因が頭痛に密接に関与していることもあります。東邦大学医療センター大森病院 心療内科は、身体と精神の両面から的確な診断・治療を行うための体制が整っているのはもちろん、内科的な病気でより専門的な診療が必要な患者さんに対しては該当する診療科をすぐにご紹介するなど、適切な対応をスムーズにできることが大きな特長のひとつとなっています。
以 上

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