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プレスリリース 発行No.614 平成27年7月24日

漢方で夏場の冷えから体を守る
正しい生活習慣と食事で冷えない体をつくる

   東邦大学薬学部生薬学教室(千葉県船橋市三山2-2-1、教授:小池 一男)では、自然界にある動物・植物・微生物を新たな医薬品の候補としてとらえ、主に植物由来の新規化合物などからその構造・生物活性の解析、臨床への応用を研究するとともに、日本の伝統医学「漢方」で処方される漢方薬の有効性について、基礎研究と漢方外来での臨床研究を通して科学的な解明を行っています。
梅雨明けとともに訪れる猛暑の中、冷房による体の冷えを訴える人が毎年増えています。
冷えは病気の入口であり、体のバランスを崩し、さらなる健康状態の悪化を招くことにつながります。不調の裏に冷えがあるとの認識が必要です。
 そこで、日本伝統の漢方の観点から、冷えを防ぎ、冷えから体を守るにはどうすればよいかについて、アドバイスを交えてお知らせします。

●漢方における「冷え」の原因と、「冷え」の怖さ
 ①気の上衝
  元気、気力、気合い、気性など「気」は身体活動の根本で、凄い働きで体中をめぐって
  いますが、形はありません。
  人が本来持っている先天の気と、空気、食物から取り入れた後天の気が合わさって、血
  と水を従えて身体内を循環して命を養っています。大きく胸を張って、体を動かして酸
  素を十分にとり入れ、食物も飲み物も血・水の循環を妨げないように上手に摂取すれば
  健康は保たれ、快適な生活が送れます。
  ところが、この順行しているはずの気が、何かのはずみで上のほうにつき上がって、下
  に廻らない状態になっていることを「気の上衝」といい、頭痛、めまい、動悸が始まり、
  足は冷たくなります。この頭熱足寒の状態は病気の前兆であり、改善が必要です。

?血(おけつ)
  体の中を順調に廻っている血液が変調をきたし、鬱滞して循環障害を起こした状態を
  “ふる血のとどこおり“と呼びます。これがすなわち「?血」です。
  ?血があると、月経の異常、便秘、めまい、のぼせ、冷え、肌荒れが目立つようにな
  ります。生理痛、不妊、子宮筋腫、卵巣嚢腫、腎炎、肝炎、膠原病、アレルギー、動
  硬化、ガンなども?血を疑ってみなければなりません。

 ③水毒
  人体の1/3以上を占めると言われている水が、貯まるべきでないところに貯まると病の
  因となります。目、皮膚、胃、心、肝、腎、関節と、ところを選びません。
  偏在する体液は「水毒」と呼ばれ、怪病は水を攻めろとも言われています。この水毒
  が外から見えるのはむくみだけで、めまい、耳鳴り、喘ぎ、咳、関節痛、神経痛、口
  渇、動悸、下痢、腹鳴、便秘、多尿、涙、ひどい汗など、みな水毒の症状です。冷房
  の利いた部屋で生活し、汗をかかず、運動をせず、飲み物や果物を取り放題の生活で
  は体が冷え、水毒となります。

●冷えから体を守る生活について
 ①規則正しい(リズム感のある)生活を心がける
  起床時間、就寝時間を決めてなるべく一定の時間帯に起床・就寝するようにし、睡眠時
  間を十分に確保するようにします。

 ②体を動かす
  仕事や勉強で座ったまま、冷房の利いた部屋で一日を過ごすことが多い人ほど、体を動
  かすことを心がける必要があります。
  動いて、歩いて、働いて汗をかくことが重要です。

 ③体の表面を冷やさない
  暑いからといって、極度に肌を露出させた服装で生活するのは良くありません。
  単に体の表面が冷えるだけでなく、気の上衝や?血を招きます。
  特に体の中の3か所の「首」(「首」、「手首」、「足首」)を冷やさないように気を
  つけましょう。

 ④深呼吸とゆったりとした気持ち
  深い呼吸をして酸素を十分にとり入れるようにします。
  同時に、気持ちに余裕を持って生活するようにします。ストレスは体のバランスを壊し、
  冷えの原因となります。

●冷えから体を守る食事について
 ①朝食をとる
  1日の始まりは、ことのほか大切です。朝食をとらない人に冷えが多いのは、体が必要
  としている食物と飲み物を欠いたまま生活を始めることで、バランスが崩れてしまう
  からに他なりません。冷え症の人はパン食よりも身体を温めるご飯食をお勧めします。

 ②気の上衝を防ぐ食事
  連日の高温多湿の暑さから、イライラ、気分が落ち着かない、食欲不振などを訴える
  人も多いことでしょう。このような時には、ハーブやスパイスの出番です。青じそ、
  山椒、わさび、梅干し、酢だち、ポン酢など、家庭にあるものが大いに活躍してくれ
  ます。
  シナモン、コリアンダー、クローブ、フェンネル、ターメリックなどにも同じ働きが
  あります。

 ③?血を防ぐ食事
  牛・豚肉や大型の魚類の脂身を多くとると?血状態を起こします。
  また、乳製品のとりすぎも?血の原因となります。これらの食品のとりすぎに注意し
  ながら、季節の野菜や果物をバランスよく食べることが大切です。

 ④水毒を貯めない食事
  汗をかくことを嫌って、夏に温かいものを食べたり飲んだりすることを避ける傾向が
  ありますが、それは冷えにつながります。
  温かい食物・飲み物をとるように心がけて体を中からあたため、むしろ汗ばむことが
  大切です。

以上

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