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プレスリリース 発行No.246 平成23年8月13日

千葉県指定 行徳鳥獣保護区「 新浜湖 」緊急調査
~ 地震による生物の被害状況把握~

 東京湾の干潟生物の貴重な生息地となっている行徳鳥獣保護区新浜湖で東日本大震災による地割れや地盤沈下による干潟消失などの被害が確認されました。これを受けて生物への影響を調べるために東邦大学理学部東京湾生態系研究センター、茨城大学、行徳野鳥観察舎友の会による合同調査が2011年7月2日、16日に行われました。
~ 地震による生物の被害状況把握~
 行徳鳥獣保護区新浜湖は、千葉県市川市にある人工的に造られた塩水湖です。新浜湖周辺地域は1960年代後半から開発・埋立が進み、残された干潟や沿岸湿地を守ろうとする自然保護活動によって現在の姿になりました。新浜湖は1つの水門によって東京湾とつながり、陸から海への移行帯である後背湿地、ヨシ原が広がる昔ながらの海辺環境を再現しています。また砂干潟、泥干潟、転石場など様々な環境がある保護区内には数多くの干潟希少生物が生息しており、東京湾の生物にとって貴重な生息場となっています。

 今回の調査では、現状を把握するために地震後の地形の変化や生物の生息について調査を行いました。その結果、埋立地である保護区内の至るところで、地割れや液状化が確認されました。さらには地盤沈下や湖岸の側方流動、淡水池の枯渇など様々な生息環境の消失が起きていました。
 地盤沈下の影響が大きい新浜湖の代表的な干潟(百合が浜)では、大潮干潮時においても干出しないことが分かりました。潮の満ち引きが起きる干潟に依存する生物にとって大きな生息地の消失であり、マサゴハゼやチゴガニでは個体数の明らかな減少が確認されました。百合が浜干潟の沈下水没は保護区の干潟生息環境の消失であり、これは生息していた生物の保全の面でも生物観察などの教育サービスの面でも大きな痛手となります。
 今回の調査で確認された生物の中には、これまでの調査に比べて生息域や繁殖域の消失・縮小が起きているものもあり、生息環境の撹乱によって生物相が大きく変わっていく可能性があります。

 今回行われた調査の詳細な結果は、9月16日(金)~19日(月)に高知大学で行われる2011年度日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会で発表する予定です。
※干潟水没により減少が懸念される生物
マサゴハゼ、トビハゼ、コメツキガニ、チゴガニ、クシテガニ、ウモレベンケイガニ

【お問い合わせ先】
東邦大学 経営企画部 広報担当 / 理学部 東京湾生態系研究センター   森上 需
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