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プレスリリース 発行No.203 平成23年4月7日

大越健嗣(理学部 教授)・大越和加 編
「海のブラックバス サキグロタマツメタ -外来生物の生物学と水産学-」出版

 大越健嗣 教授(東邦大学理学部生命圏環境科学科)と大越和加 准教授(東北大学大学院農学研究科)が編著した書籍「海のブラックバス サキグロタマツメタ-外来生物の生物学と水産学-」が2011年2月15日、恒星社厚生閣より出版(定価 3,360円)されました。
「海のブラックバス サキグロタマツメタ -外来生物の生物学と水産学-」出版

 潮干狩り場を閉鎖に追い込むまでアサリを食べつくした巻貝サキグロタマツメタ。しかし、その生態は謎に包まれていました。そのサキグロタマツメタを10年間にわたり研究している大越教授がまとめた本書は、研究者の地道な観察、研究から得られた最新の知見をもとにこの外来生物の全貌を明らかにした初の専門書です。さらにサキグロタマツメタを通して見えてくる、水産大国 日本の海が抱える外来生物の様々な問題について考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

ピクニック外来生物の恐怖

 サキグロタマツメタは元来、中国から朝鮮半島沿岸の内湾に分布していて、日本にもわずかながら西日本に生息しています。大きさは約 3~5 cmで、軟体部を広げると大人の手のひら程になる大きな巻貝で、生きた貝に巧みな技で穴をあけて中身を吸い出して食べます。しかし捕まえた貝はすぐには食べず、お弁当箱を包む風呂敷のように貝を粘液と足で包みこみ、干潟表面を移動します。その姿はまるでピクニックを行っているかのようですが、その旺盛な食欲から被害を受けている漁業関係者からは干潟を徘徊する「海のブラックバス」として恐れられています。
ピクニック外来生物の恐怖

 1999年、宮城県には生息していないはずのサキグロタマツメタが発見され、5年後の2004年には宮城県一の潮干狩り場からアサリが消えました。そして後を追うように近隣の潮干狩り場からもアサリが次々と消え、現在も大部分が営業休止という事態になりました。その原因は中国や北朝鮮から輸入アサリに紛れて入ってきたサキグロタマツメタの食害でした。そして今や、北は北海道から南は熊本県まで分布を広げています。本書はこうした背景からこれまでの本種に関わる知見を集積し、一般の方にも広く、分かりやすく提供することを目的として製作されました。地道な観察、研究から得られた本種の驚くべき生態が多数の貴重な写真と共に紹介されています。サキグロタマツメタを通して外来生物問題の深層に触れることができる本書は日本の海が抱える問題について具体的な事例を挙げながら、外来生物に頼らない新しい水産養殖や潮干狩りを提案しています。

 本学の近隣に広がる東京湾には、本種をはじめ外来種が多数生息しています。昨年、着任された大越教授は東京湾もフィールドのひとつとして研究を行う予定で、成果が期待されます。

〈 書籍名 〉海のブラックバス サキグロタマツメタ -外来生物の生物学と水産学-
〈 編  者 〉大越健嗣・大越和加
〈 出版社 〉恒星社厚生閣 2011年2月15日 出版 (定価 3,360円)

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