プレスリリース

メニュー

プレスリリース 発行No.153 平成22年7月31日

谷津干潟で干潟生物の大量斃死を確認
~理学研究科環境科学専攻 緊急調査を行う~

 2010年7月28日に谷津干潟において、貝やヤドカリといった干潟生物(ベントス)が大量に死んでいるのが見つかりました。これを受けて、理学研究科環境科学専攻 環境生態学研究室(風呂田利夫教授)では現状を把握するため7月29日に緊急の調査を行いました。
~理学研究科環境科学専攻 緊急調査を行う~
 谷津干潟に降りてみると、まず気になったのが強烈な腐敗臭でした。谷津干潟では、近年 夏になるとアオサが大量に繁茂し、これが腐り(分解され)腐敗臭を発生させること、水質を悪化させることが問題になっています。アオサが分解される過程では、酸素が消費され、また生物にとって毒物である硫化物など(腐敗臭のもと)が生成されます。

 足元を見てみると、干潟の高いところに大量のヤドカリの死がいが積み重なっており、その死がいをよく見るとどれもまるでカニが茹でられたかの様に真っ赤になっていました。また、干潟面全体を見渡してみると、アサリをはじめとした大量の二枚貝が干潟表面に出てきて、殻口を開けて死んでおり、死亡率は高いところでは80%を超えていました。汚濁や貧酸素状態にも強いといわれる外来種ホンビノスも大量に死んでいたことには驚かされました。

  このような大量斃死は、近年谷津干潟でみられておらず、また今年 近隣の干潟で同様の報告はありません。したがって、今回の大量斃死の原因は、梅雨明け以降の連日の猛暑で水温が上昇し、大量のアオサの腐敗(分解)が急激に進んだことによる水質・底質の悪化(酸素の喪失や硫化物の増加)のためだと思われます。これらの生物の大量斃死は、死がいが分解されることでさらなる水質及び底質環境の悪化を引き起こし、次の生物大量斃死を招くといった悪循環になっていくことが考えられます。

 環境生態学研究室では、7月29日の調査結果を踏まえ、分析し、干潟生物の大量斃死を引き起こした要因の詳細について解明していく予定です。

 〔多くの死がいが確認された種〕
アサリ・マテガイ・ホソウミニナ・オオノガイ・ホンビノス(外来種)・ユビナガホンヤドカリ・チチュウカイミドリガニ(外来種) 

【お問い合わせ先】
東邦大学 経営企画部 広報担当 / 理学部 東京湾生態系研究センター   森上 需
〒274-8510 千葉県船橋市三山2-2-1   E-mail: press@toho-u.ac.jp
 TEL/FAX:047-472-1159    M Phone: 090-8722-8471