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プレスリリース 発行No.079 平成21年8月19日

東邦大学医療センター 佐倉病院
遺伝子解析で鎮痛薬感受性の個人差が確認!!
~ 緩和医療で患者のQOL向上のために ~

 東邦大学医療センター佐倉病院 長島誠講師(外科)は、東京都精神医学総合研究所 池田和隆氏の「遺伝子多型検査によるテーラーメイド疼痛治療法の開発」研究班への参加など、緩和医療領域のトランスレーショナルリサーチに取り組んでいます。本年の「第109回日本外科学会定期学術集会」のシンポジウム「外科医にとっての緩和医療の位置づけ」で、麻薬系鎮痛薬の効果が遺伝子型の違いに関連している可能性があることを発表しました。これにより、患者の遺伝子型を鎮痛薬投与前に調べることで、個々の患者にふさわしい疼痛治療が可能となり、患者のQOL向上につながる研究として注目されています。
 遺伝子解析で患者の遺伝子型を判定し、一人ひとりに適した医療や医薬品を提供する「テーラーメイド医療」の実現化が進んでいます。
 本年4月2日~4日に開催された「第109回日本外科学会定期学術集会」のシンポジウムで、東邦大学医療センター佐倉病院 長島誠講師(外科)は、患者一人ひとりにあったテーラーメイド緩和医療を実現するための研究の一つとして、遺伝子型の違いとオピオイド(麻薬系)鎮痛薬の感受性との関連について発表しました。モルヒネを代表とする鎮痛薬は、がん性疼痛や術後急性疼痛の治療にたいへん威力を発揮する薬剤です。しかし鎮痛薬の効き方には大きな個人差があり、吐き気やめまいなどの副作用も無視できず、患者個人にあわせた適切な処方を行うことが難しいのが現状です。今回の臨床研究では、術後にモルヒネ等の麻薬系鎮痛薬を用いて持続硬膜外麻酔による疼痛管理を行ったがん患者200例の遺伝子型について照合しました。その結果、ミューオピオイド受容体遺伝子のアミノ酸置換を担うA118G多型において、術後24時間以内に鎮痛薬を有意に多く必要とする遺伝子型があるという結果が得られ、遺伝子型の違いが麻薬系鎮痛剤の感受性個人差に関連していることが確認できました。遺伝子レベルで鎮痛薬の効果が確認できれば、あらかじめ遺伝子型を調べることで効果を最大にする処方量を明らかにすることができると考えられ、患者のテーラーメイド医療の実現に向けて、緩和医療に活かせる可能性が見えてきました。
上記の取材について、ご遠慮なく下記までご連絡ください。 

【お問い合わせ先】
東邦大学医療センター佐倉病院
〒285-0841 千葉県佐倉市下志津564-1 TEL 043-462-8811(代表)

東邦大学医療センター佐倉病院HP http://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/
外科HP http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/sakura/surgery/