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プレスリリース 発行No.039 平成21年2月24日

ツボカビは印旛沼の水質のカギを握っている!?
~印旛沼で 4種 確認~

 「印旛沼にツボカビが少なくとも4種存在する」ことが本学理学部生命圏環境科学科 4年生 天野陽介さん、鏡味麻衣子 講師、(独)放射線医学総合研究所 石井伸昌 主任研究員により確認されました。この研究成果は今年3月に行われる第56回日本生態学会(3/17~21 於:岩手県立大学)において発表されます。
ツボカビ
 ツボカビは3年前、カエルに寄生し死に至らしめる種類(カエルツボカビ Batrachochytrium dendrobatidis)が日本に入ってきたということで注目されました。このことで「ツボカビ=悪者」という印象がもたれています。しかし、ツボカビは多くの種類が存在し、カエルだけでなくプランクトンなどに寄生する種や有機物を分解する種が自然界に広く分布しており、生態的に与えられた役割があります。(詳細は 平成19年4月24日付 東邦大学理学部プレスリリース「ミジンコはツボカビがお好き!?~食物網におけるツボカビの生態的役割の解明~」http://marine1.bio.sci.toho-u.ac.jp/press/index.html参考)
 ツボカビは検出することが難しいことから、湖沼における動態(生物量の増減)などは未解明なことが多いのが現状です。本研究では日本で最も富栄養化している湖である印旛沼において、ツボカビの出現状況(2008年5月~8月 計7回サンプル採取)を調べました。5月から7月にかけて優占する植物プランクトンである珪藻 Aulacoseira granulata に寄生するツボカビ(種名は不明)が顕微鏡下で観察されました。また、DNAレベルでツボカビの検出を試みたところ、全てのサンプルで検出され、種名までは同定することはできませんでしたが少なくとも4種いることは確認できました。
 印旛沼のほか琵琶湖や諏訪湖など日本各地でツボカビが確認されていることからも、日本の湖沼ではツボカビが常態的に存在していることが示唆されます。従って、湖沼生態系を解析するには、ツボカビを考慮に入れる必要があります。特に、COD(化学的酸素要求量)ワースト1を記録している印旛沼において、ツボカビが春から夏にかけて優占する珪藻に寄生していることから、ツボカビの存在が印旛沼の水質に影響を与えている可能性があります。今後、本学科鏡味研究室ではこの詳細を解析していく予定です。

【お問い合わせ先】
 東邦大学 経営企画部 広報担当   森上 需
 TEL/FAX:047-472-1159 M Phone: 090-8722-8471
 E-mail: press@toho-u.ac.jp