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甲状腺癌におけるtoll-like receptors(TLRs)発現の網羅的解析

この度、東邦大学医学部病院病理学講座において臨床研究「甲状腺癌におけるトール様受容体(toll-like receptors;TLRs)発現の網羅的解析」を実施することになりました。
トール様受容体(Toll-like receptors;以下TLRsと略す)とは、生体の様々な細胞に証明する事のできる受容体(レセプター)の一種であり、生体内に病原体が侵入してきた際、それを感知し免疫応答に関与するという重要な役割を果たしています。現在TLRsには約10種類の亜型(サブタイプ)が知られています。また、これらの受容体は、全ての細胞において常に発現しているわけではなく、臓器の決った部位やある疾患に罹患した場合など、細胞・組織の状態によって発現に差異のあることが明らかになっています。近年、胃癌や肝細胞癌さらには子宮頚癌など、ウイルスないし細菌などの病原体による感染を基盤とした発癌、という概念が提唱されており種々の癌腫についてTLRsの発現の有無が研究されています。
今回の研究では、甲状腺癌についてTLRsの網羅的解析を行う予定ですが、甲状腺癌はヒトに生じる癌の中でも組織型により予後に明確な差があることから、TLRsと予後についての解析がし易い癌のひとつと考えました。
本研究では1958年4月から2019年8月までに当院において施行された甲状腺癌の手術例から悪性度の異なる二つの組織型について組織標本を作製し、TLRsの発現を免疫染色法によって観察します。さらに二つの組織型の間で種々のTLRs発現に差異があるかどうかを比較検討します。ここから得られる成果は甲状腺癌の悪性度を前もって予測する因子や受容体を標的とした新たな治療法の開発につながると考えます。
本研究では年齢、性別、診断されたといった患者属性情報も解析対象として含んでおりますが、個人を特定しうる情報は一切取り扱いません。従いまして研究結果を学会や専門雑誌等で報告する際にも個人が特定されることは決してありません。
なお本研究の内容にご質問がある方、臨床情報や病理解剖結果を研究に利用されることを希望なさらない方は下記までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

本研究に関する連絡先

東邦大学医学部病院病理学講座
教授 澁谷 和俊 (講座および本研究の研究責任者)
研究相談窓口: 03-3762-4151(内線 2222)
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151