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放射線医学講座(大橋)

所属教員名

五味 達哉 / 教 授
長谷川 誠 / 助 教
吉田 匡宏 / 助 教

運営責任者

講座の概要

大橋病院放射線科は森谷 寛教授,浜田政彦教授,平松慶博教授,甲田英一教授を経て 2015年4月に五味達哉が着任しました.放射線診断に関しては平松教授の時代に大きな転換を迎え,CT, MRI, 核医学,単純写真のレポート作成が確立されましたが,甲田教授が着任されてから,CT, MRI および核医学に関しては,すべての検査にレポート作成が行われる様になりました.またこれらのレポートは検査当日に作成することを基本としており,現在でも 90% 以上のレポートが検査の翌診療日までに作成されています.
放射線治療は,2018年の新病院移転より最新鋭のリニアックが稼働し始め,院内・院外からの幅広いご依頼に対応しています。

研究の概要

画像診断の精度を向上するための研究を基本とし,そのほか造影剤の副作用軽減,新しい撮像方法の開発を推進しています.
放射線治療分野では、予後予測やQOLの検討、高精度放射線治療の検討等を行っています。

撮像画像における解剖学的な構造や各種疾患ごとの特徴の再検討
診療のために撮像した過去の画像を再検討し、解剖学的な構造や各種疾患ごとの画像の特徴などの解析を行っています。具体的な解析検討としては、胆嚢摘出術前や胆管腫瘍の術前精査などでよく行われるCT cholangiographyでの胆管描出能や胆管の合流形態の頻度などの検討を行っています。CT cholangiography とは、胆汁中に排泄されるヨード造影剤を点滴で投与した後にCTを撮影し、胆嚢や胆管を詳しく調べる検査です。Drip Infusion Cholecystocholangiography(点滴静注胆嚢胆管造影法)とCTを組み合わせた検査ですので、DIC-CTと呼ばれることもあります。特に尾状葉という肝臓の奥まった部位の胆管に注目して合流頻度など解析しています。

ヨード造影剤の副作用(アレルギー様反応)の検討
ヨード造影剤の副作用のうち,投与量非依存性であるアレルギー反応は 3% に起こると言われています.このアレルギー反応は以前使用されていたイオン性造影剤より現在使用されている非イオン性造影剤の方が発生頻度は低いのですが,現時点でも副作用をなくすことはできていません.このため副作用を予防することが重要となっています.多数の造影剤使用症例の検討では,造影剤使用の初回症例および若年症例でより副作用の発現頻度が高いことがわかり,また非イオン性造影剤間でも副作用発現に多少なりとも差があることがわかり,これらを踏まえ,臨床症例に応用しています。

ヨード造影剤の副作用(腎性)の検討
ヨード造影剤の副作用のうち,投与量依存性である腎性の副作用に関しては,近年造影剤腎症が問題となっています.実際には造影剤腎症という病態が存在するのかという疑問も生じています.これは造影剤腎症が造影剤投与48時間から72時間後のクレアチニン値で定義されているためと考えられています.このためバイオマーカーであるNeutorophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL) を用いて造影剤投与 4 時間後の腎障害の程度を確認し,ヨード造影剤と腎障害の関連を検討しています.

ヨード造影剤の副作用(造影剤投与手技に伴うもの)の検討
ヨード造影剤投与手技に伴う副作用で最も問題となるのが造影剤の血管外漏出です.この血管外漏出を防ぐには,造影剤投与に用いるインジェクターの時間-圧力曲線の検討が重要となります.この時間-圧力曲線の検討にあたり圧力を 0.25秒毎に数値として抽出し,時間-圧力曲線を作成し検討を行っています.実際にはこの時間-圧力曲線は造影剤毎に特有の曲線を示すことがわかり,この造影剤特有の曲線を把握した後に,造影剤の血管外漏出症例と正常例を比較し,造影剤の血管外漏出の有無を造影剤投与初期の時点で判断できるよう,検討を行っています.

息止め無しの腹部 MRI 撮像の検討
CT 検査と同様に MRI でも腹部の撮像に際しては息止めが必要となります.しかし CT と異なり腹部の MRI 検査では CT よりも長い時間の息止めが必要となります.このため息止めが不良になる症例の頻度が高くなります.特に高齢者の腹部 MRI 検査では息止め不良に伴う画質の低下が問題となっています.このためラディアルスキャンを応用した息止め不要の腹部 MRI 検査の検討を行っています.実際にはラディアルスキャンを併用した撮像方法には spin-echo 法,fast spine-echo 法,グラディエント法があり,これらのうちどの撮像方法が良いかを含め,臨床に応用しています.

放射線治療に関する検討
放射線治療は、根治から緩和までの幅広い適応を有しており、臓器温存が可能なQOL向上に不可欠な治療とされています。緩和照射においては、治療を完遂しQOL向上を図ることが目的であり、適切な予後予測が行えないかを検討しています。
また、これまで前立腺や頭頸部の悪性腫瘍におもに用いられてきた強度変調放射線治療(IMRT)を膵癌や肺癌等にも適用し、問題なく治療が可能かを検討しています。

代表論文

  1. Gomi T, Nagamoto M, Tsunoo M, Terada S, Terada H, Kohda E: Evaluation of the changes in signals from the spleen using ferucarbotran. Radiat Med 25: 135-138, 2007
  2. Kohda E, Tsutsumi Y, Nagamoto M, Gomi T, Terada H, Kawawa Y, Masaki H, Shiraga N. Revisit image control for pediatric chest radiography. Radiat Med. 25: 60-64, 2007
  3. Katoh A, Gomi T, Nagamoto M, Hasegawa M, Shiraga N, Kohda E:Comparison of high and moderate concentrations of iodine in contrast material for multiphase dynamic CT evaluation of the liver. A prospective multicenter study. J. Med. Soc. Toho 57: 102-109, 2010
  4. Hattori N , Senoo A, Gomi T, Nagamoto M, Nakano T, Chiba T, Yokose M, Takizawa M, Kohda E: T1-weighted MR imaging of the female pelvis using RADAR-FSE sequence. Magn Reson Med Sci 8: 175-180, 2009
  5. Gomi T, Nagamoto M, Hasegawa M, Katoh A, Sugiyama M, Murata N, Kunihiro T, Kohda E: Are there any differences in acute adverse reactions among five low-osmolar non-ionic iodinated contrast media?. Euro Rdiol 20: 1631-1635, 2010
  6. Gomi T, Nagamoto M, Hasegawa M, Murata N, Katoh A, Ooka M, Iwasaki M, Kunihiro T, Iizuka Y, Kohda E: Superparamagnetic iron oxide as a positive enhancer in MR angiography at 0.3tesla. J. Med. Soc. Toho 58: 105-111, 2011
  7. Ooka M, Kohda E, Iizuka Y, Nagamoto M, Ishii T, Saida Y, Shimizu N, Gomi T: Wandering spleen with gastric volvulus and intestinal non-rotation in an adult male patient. Acta Radiol Short Rep 2: 1-4 , 2013
  8. Hattori N, Gomi T, Nagamoto M, Hasegawa M, Murata N, Tsunoo M, Iizuka Y, Terada H, Kohda E: Advantages of using spin-echo-type radial scanning with parallel imaging of the Head. J. Med. Soc. Toho 60: 198-203, 2013
  9. Gomi T, Nagamoto M, Hasegawa M, Tabata A, Iwasaki M, Ooka M, Murata N, Tsunoo M, Iizuka Y, Kohda E, Shiraga N: Radial MRI during free breathing in contrast-enhanced hepatobiliary phase imaging. Acta Radiol 55: 3-7, 2014
  10. Murata N, Gonzalez-Cuyar LF, Murata K, Fligner C, Dills R, Hippe D, Maravilla KR.: Macrocyclic and other non–group 1 gadolinium contrast agents deposit low levels of gadolinium in brain and bone tissue:Preliminary results from 9 patients with normal renal function. Invest Radiol: 447-453, 2016

教育の概要

学部

放射線医学(臨床編)
(対象学年 3年,時限数 20)
臨床実習
(対象学年 4年)
選択実習
(対象学年 6年)

大学院

博士課程 共通必修 高度最新医療学
博士課程 共通選択 消化器病コース

診療の概要

放射線診断(単純写真,CT, MRI, 核医学),Interventional Radiology (IVR) および放射線治療を行っています.これらのうちCT (就業時間内)および MRI(全ての検査)に関しては検査の組み立てから造影に至るまで放射線科医が担当して検査を行っています.また CT, MRI および核医学に関しては全ての検査に読影レポートを作成しています.IVR に関しては他科から依頼を受け,診断および治療を行っています.放射線治療に関しては,2018年より最新鋭の機種を稼働し始め、通常照射から高精度照射(強度変調放射線治療や定位放射線治療)を行っています.

その他

学会活動

日本医学放射線学会
日本画像医学会
日本磁気共鳴医学会
日本核医学会
日本腹部放射線学会
日本超音波医学会
日本放射線腫瘍学会(JASTRO)
欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)
日本乳癌学会
日本肺癌学会

主催学会/研究会・勉強会

小児放射線勉強会(月1回)
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151