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精神神経医学講座(大森)

所属教員名

水野 雅文  / 教 授
根本 隆洋  / 准教授
蓮舎 寛子  / 助 教(大橋)
片桐 直之  / 助 教
山口 大樹  / 助 教
舩渡川 智之 / 助 教
相川 さやか / 助 教(大橋)
松本 裕史  / 助 教
馬場 遥子  / 助 教

運営責任者

講座の概要

 東邦大学医学部精神神経医学講座は昭和24年に開設された。初代新井尚賢教授以来、臨床研究、中でも社会精神医学を中心に、臨床疑問に向き合う学問姿勢で研究活動を続けている。
大学本院である東邦大学医療センター大森病院の精神神経科では、大田区をはじめ、品川区南部、川崎市北部(人口約100万人)など、広汎で多彩な地域の精神科医療を支えてきた。近年は、国際化した羽田空港に近いことを活かし、国内海外とも広く交流を行い、最先端の精神科医療や研究を他に先駆けて積極的にupdateし続けている。
 中でも早期精神病の治療ユニットであるイルボスコでは、思春期、青年期における精神疾患の予防、早期介入に関する国内をリードする先進的な取り組みを行っており、国際的にも多くの知見を発信し続けている。平成27年には、新7号館が完成し医局やイルボスコも新しくなり、様々なプロジェクトが進められている。
 本講座においては、最新の設備と各分野のスペシャリストのもとで、児童・思春期および早期精神病から、慢性期のケアや認知症分野までを、生物・心理・社会に加えて倫理観も併せたbio-psycho-socio-ethicalな幅広い視点で網羅的に治療や研究が行なわれている。毎週水曜日には、研究会が行われ、教授以下、各分野のスペシャリストによる基礎からより専門的なレベルまでの総合的な研究が行われている。

研究の概要

当講座における研究活動の特徴として、研究手法の幅広さと研究成果の臨床への応用を重視している点が挙げられる。最近進められている主要な研究としては下記のものがある。

1)社会精神医学研究

 精神科医療は、他の医学分野に比べてより統合的で包括的な視点とそれに基づくアプローチを求められる。一般に、精神科外来診療では、診察室で患者の話を傾聴し、適切な薬物を処方するが、それだけでは患者の悩みや苦痛を解決することはできない。精神障害では、幻覚や妄想などのなどの精神症状だけでなく、対人コミュニケーションの困難、日常社会生活が円滑に営めないなど、抱える問題は多種多様である。これらの諸問題に対して、bio-psycho-socialな視点に立った、さらにethicalな配慮も含めた、統合的な治療が必須であり、その発展が求められている。そこでこれらの治療の基礎となる研究に取り組むとともに、エビデンスに基づいた包括的治療も展開している。

2)児童思春期精神医学研究

 「児童思春期外来」は昭和63年以来の歴史がある。開設当初は統合失調症など精神病が対象疾患であったが、社会の多様化に伴い、児童思春期精神医学で扱う疾患や問題も時代と共に移り変わっている。近年はADHDやアスペルガー症候群等の軽度発達障害を持つ児童や被虐待児などの受診が増加しており、社会における児童思春期精神医学に対する需要は日一層高くなっている。児童思春期精神医学を専門とする医師は絶対的に数が少ないが、我々のグループはより専門性を高め、小児科との連携をはかりながら、トータルに子どもを心身両面について評価し、より健康な生活を送る為の支援を行っている。

3)リエゾン研究

 当講座は開設されて以降、大学病院あるいは総合病院の中の診療科としての側面も担ってきた。最近では、診療活動としてリエゾンサービスをチーム制として活発に活動している。せん妄の薬物療法に関する調査、看護課と共同してDVT予防に関する研究、救急救命センターに入室した自殺企図例の調査などを手がけ、これらは学会で報告が行なわれている。現在は、チーム制に移行したリエゾンサービスの質を向上させるための研究が手がけられている。一方で、自殺企図例や重篤な身体合併症を中心に救命スタッフをはじめとした他診療科と連携して積極的に精神科救急活動も行なわれており、そこで経験した事例は検討会を随時開催し議論される。これまで集積されたデータは、国際学会などで報告され論文化もされている。

代表論文

  1. Sekizaki R, Nemoto T, Tsujino N, Takano C, Yoshida C, Yamaguchi T, Katagiri N, Ono Y, Mizuno M: School mental healthcare services using internet-based cognitive behavior therapy for young male athletes in Japan. Early Interv Psychiatry 14: 2017
  2. Saito J, Hori M, Nemoto T, Katagiri N, Shimoji K, Ito S, Tsujino N, Yamaguchi T, Shigeki N, Mizuno M: Longitudinal study examining abnormal white matter integrity using a tract-specific analysis in individuals with a high risk for psychosis. Psychiatry Clin Neurosci 71:530-541, 2017
  3. Baba Y, Nemoto T, Tsujino N, Yamaguchi T, Katagiri N, Mizuno M. Stigma toward psychosis and its formulation process: Prejudice and discrimination against early stages of schizophrenia. Compr Psychiatry. 73,181-186, 2017
  4. Fusar-Poli P, Cappucciati M, Borgwardt S, Woods SW, Addington J, Nelson B, Nieman DH, Stahl DR, Rutigliano G, Riecher-Rössler A, Simon AE, Mizuno M, Lee TY, Kwon JS, Lam MM, Perez J, Keri S, Amminger P, Metzler S, Kawohl W, Rössler W, Lee J, Labad J, Ziermans T, An SK, Liu CC, Woodberry KA, Braham A, Corcoran C, McGorry P, Yung AR, McGuire PK. Heterogeneity of Psychosis Risk Within Individuals at Clinical High Risk: A Meta-analytical Stratification. JAMA Psychiatry.73,113-20,2016.
  5. Tobe M, Nemoto T, Tsujino N, Yamaguchi T, Katagiri N, Fujii C, Mizuno M.  Characteristics of motivation and their impacts on the functional outcomes in patients with schizophrenia.Compr Psychiatry. 65;103-9,2016.
  6. Ito S, Nemoto T, Tsujino N, Ohmuro N, Matsumoto K, Matsuoka H, Tanaka K, Nishiyama S, Suzuki M, Kinoshita H, Ozawa H, Fujita H, Shimodera S, Kishimoto T, Matsumoto K, Hasegawa T, Mizuno M. Differential impacts of duration of untreated psychosis (DUP) on cognitive function in first-episode schizophrenia according to mode of onset. Eur Psychiatry.30;995-1001,2015
  7. Hasuya H, Nemoto T, Funatogawa T, Katagiri N, Mizuno M. Psychosocial functioning of persons who develop serious mental illness after exhibiting a somatic prodrome in adolescence. Toho J Med 1;62-68,2015.
  8. Katagiri N, Pantelis C, Nemoto T, Zalesky A, Hori M, Shimoji K, Saito J, Ito S, Dwyer DB, Fukunaga I, Morita K, Tsujino N, Yamaguchi T, Shiraga N, Aoki S, Mizuno M. A longitudinal study investigating sub-threshold symptoms and white matter changes in individuals with an 'at risk mental state' (ARMS). Schizophr Res.162;7-13 2015.
  9. Yamaguchi T, Fujii C, Nemoto T, Tsujino N, Takeshi K, Mizuno M. Differences between subjective experiences and observed behaviors in near-fatal suicide attempters with untreated schizophrenia: a qualitative pilot study. Ann Gen Psychiatry.15;14−17,2015.
  10. Nemoto T, Niimura H, Ryu Y, Sakuma K, Mizuno M. Long-term course of cognitive function in chronically hospitalized patients with schizophrenia transitioning to community-based living. Schizophr Res.155;90-5,2014.

教育の概要

学部

 当講座においては、医学生への精神医学教育を最新の設備と各分野のスペシャリストのもとで、児童・思春期および早期精神病から慢性期のケア、また認知症や身体合併症患者のケアまでを、生物・心理・社会に加えて倫理観(bio-psycho-socio-ethical)も併せた幅広い視点に立ち網羅的に行っている。
 精神科病棟では、病棟長の下に指導医をトップとした3つのチームが編成されている。病棟実習において医学生は、各チームに所属し指導医のもとで入院患者を担当し、看護師、精神保健福祉士、薬剤師、栄養士や臨床心理士から編成されるチームに参加し学習を行う。チームカンファレンスにおいては病棟長、所属するチームの指導医による直接的指導が行われる。月曜日には教授以下、教室員全員によるカンファレンスや回診が行われ、学生に対しても幅広い指導が行なわれる。さらに教授や各分野のスペシャリストから個別に総合的な指導も行われる(クルズス)。
平成27年に完成した早期精神病の治療ユニットであるイルボスコでは、学生は同ユニット内で行われる活動に実際に参加し、思春期、青年期における精神疾患の予防、早期介入につき学習する。総合病院の中の精神科という側面も考慮し、リエゾンコンサルテーション、緩和ケアに関する実習も行われている。済生会横浜市東部病院における実習では、精神科救急、身体合併症など各病院の特色あるプログラムを学ぶ。

大学院

 東邦大学医学部精神神経医学講座では多彩な研究を進めているが、教室員はいずれの研究へも随時参加でき原則として参加者全員が学位(博士(医学))の取得を目指して研究活動を行っている。当講座における大学院の特徴として、研究手法の幅広さと研究成果の臨床への応用を重視している点が挙げられる。大学院においては、今日の臨床精神医学研究としてふさわしい内容の博士学位論文を提出できるよう指導している。中でも精神疾患の早期発見・早期治療に関する研究、精神疾患の神経画像研究、精神科疫学研究、児童・思春期精神医学などでの研究が活発に行われている。大学院での研究も臨床研究が中心である。主に下記の共同研究施設とは、常に交流し共同研究などを行っており留学も可能である。海外留学に関しては希望者には個別にカリキュラムと照らし合わせながら、積極的に行えるようにしている。
  Prof. Massimo Cassacchia (Univ. L’Aquila, Italy)
  Prof. Peter Johnes (Cambridge Univ, U.K.)
  Prof. Giuseppe Sartori (Univ. Padua, Italy)
  Prof. Michael Green (UCLA, USA)
  Prof. Christos Pantelis (Melbourne Neuropsychiatry Centre, Australia) 他

診療の概要

 当講座は開設されて以来、大学病院あるいは総合病院の中の診療科としての側面も持ち、当教室員は東邦大学医療センター大森病院精神神経科の職員でもある。大森病院は、東邦大学医療センター(大森、大橋、佐倉)の本院であり、特定機能病院であり東京都大田区、品川区南部、川崎市北部(人口約100万人)の地域基幹病院である。
 我々の教室は、基幹病院の精神神経科として大田区を中心とした広汎な地域の精神科医療を支え、多彩な治療へのニーズにも積極的に応えている。一方で、国際化した羽田空港に近いことを活かし、国内海外とも広く交流を行い、最先端の精神科医療を他に先駆けて積極的にupdateし続けている。中でも早期精神病の治療ユニットであるイルボスコでは、思春期、青年期における精神疾患の予防、早期介入に関する国内をリードする先進的な取り組みを行っており、国際的にも多くの知見を発信し続けている。平成27年には、新7号館が完成し医局やイルボスコも新しくなった。精神科病棟には開放病棟に加え、23区内では数少ない閉鎖病棟(保護室あり)がある。当講座においては、最新の設備と各分野のスペシャリストのもとで、児童・思春期および早期精神病から、慢性期のケアや認知症サポートまでを、生物・心理・社会に加えて倫理観も併せたbio-psycho-socio-ethicalな幅広い視点で網羅的に診療を行っている。

その他

社会貢献

 既に、当講座は日本国内の児童思春期のメンタルヘルスケア分野において最先端の研究を進めており、多くの研究業績をあげてきた。現在、主に臨床研究を積極的に行い、研究成果を学会活動や論文発表を通じて、国内のみならず、グローバルに還元、啓蒙を通し社会に貢献し続けている。
 地域における精神医療基幹病院としての貢献としては、大田区70万人のみならず、城南地区において本院が唯一の精神神経科閉鎖病棟であることから、地域と連携し重篤であったり、高度な治療を要する精神疾患患者の入院を受け入れている。また、単に入院を受け入れるだけではなく、外来においても地域の医療機関や公的機関と密に連携し、退院後の患者の再発予防や、リハビリテーション、社会復帰を促進し、広く社会に貢献している。大田区を主とした各種の医療保健サービスにも多くの医局員が協力し貢献している。また、地域主催の講演などにおいても教室員の多くが演者として積極的に参加している。
 院内においても、総合病院の精神科部門として他診療科からのあらゆる依頼を精神科リエゾンチームを中心に積極的に受け入れ、一般病棟入院中の患者のメンタルヘルスの改善に貢献し退院促進につなげている。
 また水野雅文教授が理事長を務める東京都精神保健福祉協議会の事務局を置き、東京都における精神保健福祉活動に活発に貢献している。

学会活動

 臨床研究を活発に行っており、研究成果を学会活動や論文発表を通じて、国内のみならず、グローバルに還元、啓蒙を続けている。その一環として最近当講座が主催した学会には、次のものがある。The 9th International Conference on Early Psychosis(平成26年11月17〜19日)、心理教育・家族教室ネットワーク 第19回大会研究集会(平成28年3月20〜21日)、第34回日本森田療法学会 (平成28年11月25〜26日)、第36回日本社会精神医学会(平成29年3月3〜4日)。また、2016年、国内のみならず、 5th schizophrenia International research society、the XXII World Congress of the World Association of Social PsychiatryやThe 10th International Conference on Early Psychosisなどの国際学会にも教室員が多く参加し学会発表を行った。
 また水野雅文教授は、President, IEPA Early Psychosis in Mental Health Inc.のほか、国内では日本精神保健・予防学会理事長、一般社団法人日本社会精神医学会理事長、公益社団法人日本精神神経学会理事、日本森田療法学会常任理事、日本老年精神医学会評議員、日本高次脳機能障害学会評議員、日本統合失調症学会評議員、日本精神科診断学会 評議員、日本内観医学会理事、日本精神医学史学会評議員などの学会役員他、多数の英文雑誌編集委員として活動している。
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151