医学部

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整形外科学講座(佐倉)

所属教員名

中川 晃一 / 教 授
中島 新  / 准教授
高橋 宏  / 講 師
園部 正人 / 助 教
赤津 頼一 / 助 教

運営責任者

講座の概要

佐倉病院整形外科は若い教室です。当教室の歴史は平成3年に佐倉病院が開院した時に大森病院から古府照男先生が整形外科部長として赴任されたところから始まります。長らくの間、大森病院から3名のスタッフが交代で派遣されて診療体制を維持していましたが、平成22年4月に千葉大学整形外科から中川晃一、青木保親、中島新の3名が新たに赴任し、佐倉病院整形外科のスタッフに加わりました。初代教授の古府照男先生が平成26年3月に退任された後より2代目教授として中川晃一が教室の運営を行い、現在に至っています。

研究の概要

臨床研究

  1. 前十字靭帯再建術における骨孔作製方法の違いによる術後成績の検討
    前十字靭帯(ACL)再建術は比較的安定した術後成績が得られておりますが、未だ正常な膝関節運動を再現できてはおらず、より良い術式の確立が求められています。当教室では、ACL再建術後の移植腱の成熟度をMRIで継時的に評価し、術式の違いが移植腱の成熟にどのように影響するか検証しています。
  2. 膝蓋骨脱臼症に対する手術法選択の標準化に関する研究
    膝蓋骨脱臼は骨形態や関節弛緩性など様々な身体的素因により発生しやすくなることが分かっています。そのため手術療法を行う場合には、症例によりどのような術式を選択すべきか迷う場合が多く、未だその選択基準が一定していません。当教室では多くの手術経験から、術式選択に有用な術前評価法の検討を行っています。
  3. 人工膝関節置換術 (TKA) 後の下肢アライメントと患者満足度に関する研究
    TKAでは医師立脚型評価と患者満足度にしばしば乖離があることが指摘されており、患者立脚型評価の向上が求められています。当教室では産学共同で開発した生理的な関節面の再建を具現化した人工膝関節(監修:勝呂徹 前主任教授)の術後成績を、下肢アライメントと患者立脚型評価の関係に注目し、生理的関節面の再現の重要性を検証しています。
  4. 関節リウマチ患者における血中ROM (reactive oxygen metabolities) 値と寛解予測に関する研究
    中島らは、関節リウマチ患者において血中酸化代謝産物の総称であるROMがCRPや疾患活動性の指標であるDAS28と相関すること(Mod Rheumatol 2014)、さらに、生物学的製剤投与開始後12週の血中ROM値が52週の寛解予測因子になることを報告しました(Clin Rheumatol 2017)。ROMが将来、寛解予測に有用なバイオマーカーとして実臨床に応用される可能性を求めて、様々な視点から研究を進めています。
  5. 腰椎変性疾患症例における腰下肢痛の性状と手術による変化に関する検討
    青木らは、動作時、坐位時、立位時の3種類の状況別に腰痛のVisual Analog Scale(VAS)を測定することで腰痛の客観的評価をより詳細に行うことが可能となることを報告しました(Pain Res Treat 2012)。この手法を用いて、腰椎片側進入両側除圧術、及び腰椎後方椎体間固定術における腰痛の性状と局在、その変化について検討を行っています。

基礎研究

現在進行中の基礎研究の多くは科研費などの競争的研究資金による助成を受けて行っています。
  1. 絹フィブロイン・スポンジと培養細胞を用いた新しい軟骨再生法の開発
    本研究計画は平成24~26年度の厚生労働科学研究費補助金(医療機器開発推進研究事業,研究代表者:中川晃一)に採択され、京都大学、信州大学、横浜市立大学との共同研究で臨床治験を視野に入れたフィブロインの設計、大型実験動物を用いた関節軟骨欠損モデルにおける軟骨再生促進効果を検証してきました。現在は、軟骨再生の効率化を目的として、できるだけ簡便な培養細胞移植を併用した軟骨再生法の開発を行っています。
  2. 関節リウマチ由来滑膜、軟骨細胞における活性酸素種 (ROS) 産生と関節破壊に関する研究
    関節リウマチ (RA)では関節内の炎症によって活性酸素種 (reactive oxygen species, ROS)が産生され、滑膜増殖、軟骨基質分解などの関節破壊に関わっていると考えられます。RA患者の滑膜、軟骨から得られた培養細胞を用い、IL-6, TNF-αなどの炎症下で発生するROSが関節破壊に関わる機序を明らかにし、ROSがRAの新たな治療標的へと展開するための基礎研究を行っています。
  3. 脊椎変性疾患における血清中バイオマーカーの探索と病態の解明
    高橋らは、圧迫性脊髄症急性増悪期において脳脊髄液中phosphorylated neurofilament subunit NF-H (pNF-H) の発現が上昇することを発見しました(J Clinical Neuroscience 2014)。脊椎変性疾患(脊髄障害、神経根、馬尾神経障害)において特異的に発現量が変化する蛋白を同定し、バイオマーカーとして活用することによって、疾患の鑑別や客観的な治療効果判定、予後予測に臨床応用したいと考えています。
  4. 変形性膝関節症における前十字靭帯の網羅的な遺伝子発現解析と治療への応用
    変形性膝関節症(OA)は膝関節の軟骨変性を主体とする疾患ですが、膝関節の安定性を担う前十字靭帯(ACL)もOAの進行に伴って変性します。当教室では、組織の遺伝子発現を網羅的かつ定量的に解析可能な新たな手法であるRNA-Sequencingを用いてACL 変性に特異的な遺伝子を同定し、OA の発症•進行予防に繋がる新規治療法の開発を目指しています。

代表論文

  1. Nakajima A, Aoki Y, Sonobe M, Takahashi H, Saito M, Nakagawa K. Serum level of reactive oxygen metabolites (ROM) at 12 weeks of treatment with biologic agents for rheumatoid arthritis is a novel predictor for 52-week remission. Clin Rheumatol. 2017 Feb;36(2):309-315.
  2. Nakajima A, Aoki Y, Sonobe M, Watanabe F, Takahashi H, Saito M, Nakagawa K. Relative expression and correlation of tumor necrosis factor-α, interferon-γ, and interleukin-17 in the rheumatoid synovium. Clin Rheumatol. 2016 Jul;35(7):1691-7.
  3. Nakajima A, Aoki Y, Sonobe M, Takahashi H, Saito M, Terayama K, Nakagawa K. Radiographic progression of large joint damage in patients with rheumatoid arthritis treated with biological disease-modifying antirheumatic drugs. Mod Rheumatol. 2016 Jul;26(4):517-21.
  4. Takahashi H, Koda M, Hashimoto M, Furuya T, Sakuma T, Kato K, Okawa A, Inada T, Kamiya K, Ota M, Maki S, Takahashi K, Yamazaki M, Mannoji C.  Transplanted Peripheral Blood Stem Cells Mobilized by Granulocyte Colony-Stimulating Factor Promoted Hindlimb Functional Recovery After Spinal Cord Injury in Mice. Cell Transplant. 2016;25(2):283-92.
  5. Akatsu Y, Yamaguchi S, Mukoyama S, Morikawa T, Yamaguchi T, Tsuchiya K, Iwasaki J, Akagi R, Muramatsu Y, Katsuragi J, Fukawa T, Endo J, Takahashi K, Sasho T. Accuracy of high-resolution ultrasound in the detection of meniscal tears and determination of the visible area of menisci. J Bone Joint Surg Am. 2015 May 20;97(10):799-806.
  6. Takahashi H, Aoki Y, Nakajima A, Sonobe M, Terajima F, Saito M, Taniguchi S, Yamada M, Watanabe F, Furuya T, Koda M, Yamazaki M, Takahashi K, Nakagawa K. Phosphorylated neurofilament subunit NF-H becomes elevated in the cerebrospinal fluid of patients with acutely worsening symptoms of compression myelopathy. J Clin Neurosci. 2014 Dec;21(12):2175-8.
  7. Nakajima A, Aoki Y, Shibata Y, Sonobe M, Terajima F, Takahashi H, Saito M, Taniguchi S, Yamada M, Nakagawa K. Identification of clinical parameters associated with serum oxidative stress in patients with rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol. 2014 Nov;24(6):926-30.
  8. Saito M, Sasho T, Yamaguchi S, Ikegawa N, Akagi R, Muramatsu Y, Mukoyama S, Ochiai N, Nakamura J, Nakagawa K, Nakajima A, Takahashi K. Angiogenic activity of subchondral bone during the progression of osteoarthritis in a rabbit anterior cruciate ligament transection model. Osteoarthritis Cartilage 20:1574-82, 2012.
  9. Aoki Y, Sugiura S, Nakagawa K, Nakajima A, Takahashi H, Ohtori S, Takahashi K, Nishikawa S.  Evaluation of nonspecific low back pain using a new detailed visual analogue scale for patients in motion, standing, and sitting: characterizing nonspecific low back pain in elderly patients. Pain Res Treat. 2012;2012:680496.
  10. Nakagawa K, Wada Y, Minamide M, Tsuchiya A, Moriya H. Deterioration of long-term clinical results after Emslie-Trillat procedure for dislocation of the patella. J Bone Joint Surg Br. 2002 Aug;84(6):861-4.

教育の概要

学部

整形外科学は四肢・体幹の外傷学、関節疾患、脊髄脊椎疾患、スポーツ障害、骨軟部腫瘍、関節リウマチをはじめとする炎症性疾患など多岐にわたります。体を動かすパーツ、即ち運動器を扱う整形外科は機能外科の中でもニーズが高く、医学部生のうちから運動器疾患の基礎を学ぶことは非常に重要です。整形外科学の授業は大森、大橋病院の教員と分担して行い、当教室からは中川、中島、高橋が各専門領域で授業を担当しています。
また、医学部4~5年生の臨床実習の際には、佐倉病院の外科系実習の週の内、半日を当教室で担当しています。6年生の臨床実習(クリニカルクラークシップ)では1ヶ月間の実習が可能であり、積極的に希望者を受け入れています。また、海外からの医学生の留学も積極的に受け入れています。

大学院

整形外科学の基礎を学ぶことの他、当科の基礎研究のメインテーマである、軟骨再生、関節リウマチの骨軟骨破壊機序、変形性膝関節症の病態解析、脊髄損傷の分子病態などを中心に詳しく学びます。教員は生化学、分子生物学、細胞生物学的な研究手法にも精通していますので、佐倉病院医学研究部の共同利用研究室にて研究テーマを遂行することが可能です。研究成果は定期的に国内外で学会発表を行い、最終的に学位論文を作成し、学位を取得することを目標とします。なお、希望者は基礎医学の研究室や他大学、他研究施設でも研究を行うことが可能です。教員は大学院生一人一人の希望に沿った研究生活が送れるよう最大限のバックアップをします。

診療の概要

一般外傷、関節疾患、脊椎疾患に対する診療を幅広く行っており、特に膝スポーツ障害、リウマチ、変形性関節症、脊椎(腰椎、頚椎)の変性疾患に対する治療を得意としています。膝スポーツ障害、関節リウマチは千葉県の中でも特に症例が豊富です。診療は主に膝、股関節、足、脊椎、リウマチの各グループで専門性の高い治療を行っており、骨折などの外傷は指導医の下、主にレジデントが治療を行います。
当院では、身体への負担が極力少ない方法で患者一人一人に最適な治療を行うため、2013年に「運動器低侵襲センター」を開設し、診断から治療方針の決定まできめ細かな治療を行っています。年間の手術症例数は600-700件であり、主な内訳は、膝スポーツ障害(靭帯再建術、半月板縫合術など)150件、人工関節置換術150件、脊椎100件、外傷(骨折など)150件です。

その他

社会貢献

佐倉病院で定期的に開催されている市民公開講座で整形外科疾患を一般の方に分かりやすく解説し、啓蒙しています。これまでに腰部脊柱管狭窄症、ロコモティブシンドローム、骨粗鬆症について市民公開講座を行いました。また、理学療法部のスタッフが中心となり、平成24年度から地域在住の高齢者に対して体力測定や介護予防教室を開催し、高齢者の健康寿命の延伸を目指す活動を行っています。この活動は日本運動器科学会のロコモ推進活動研究助成にも採択されました。

学会活動

毎年、整形外科の各専門領域で活躍されている先生を招いて定期的に学術講演会を開催しています。2016年は印旛市郡リウマチセミナーなど4つの学術講演会を行いました。
当教室の特徴の1つにスポーツ整形外科がありますが、日常診療の他にスポーツ現場に帯同するスポーツドクターの活動も行なっています(齋藤)。最近では、U15-17サッカー日本代表やU16−17サッカー女子日本代表の活動に帯同しており、育成年代のトップアスリートのサポートを行なっています。
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151