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脳神経外科学講座(大橋)

所属教員名

岩渕 聡  / 教 授
青木 和哉 / 准教授
櫻井 貴敏 / 講 師
伊藤 圭介 / 講 師
林 盛人  / 講 師
齋藤 紀彦 / 講 師
中山 晴雄 / 講 師
岩間 淳哉 / 助 教

運営責任者

講座の概要

 当教室は、昭和56年5月に東邦大学医学部附属大橋病院脳神経外科研究室として開設され、これまでに多くの専門医を輩出してきた。現在、脳神経外科専門医研修プログラム(全国94プログラム)の基幹施設にも認定されており、連携施設も8施設に増え、当プログラム内の手術件数が1715件(自施設413件)と研修医教育も充実したものになっている。脳神経外科専門医取得後は様々なsubspecialtyを習得し、日本脳卒中学会専門医、日本脳卒中の外科学会技術認定医・指導医、日本神経内視鏡学会技術認定医、日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医、日本脊髄外科学会認定医・指導医、日本がん治療認定医・指導医、日本救急医学会専門医・指導医、外科周術期感染管理教育医、日本認知症学会専門医などの資格を取得し、現在の大橋病院での脳卒中診療、脳腫瘍診療、脳血管内治療、脊椎・脊髄外科、救急医療、スポーツ頭部外傷診療、認知症診療、院内感染対策・予防を担っている。また、海外留学も精力的に行っており、これまでにMichigan大学、チェコスロバキア国立科学アカデミー生理学研究所、Marseille大学、Otago大学、Chicago大学、Barrow Neurological Institute、Mississippi大学、Louisiana州立大学、Iowa大学、Texas大学MD Anderson Cancer Center、UCLAなどで研究実績を挙げている。

研究の概要

1. 神経膠芽腫の血管新生抑制療法に対する耐性機序の解析

 われわれは、Notchシグナルが活性化している神経膠芽腫は血管新生阻害薬に抵抗性を示すことを明らかにした。現在、血管新生抑制剤による血管増殖因子、Notchシグナル関連遺伝子の発現変動を解析し、神経膠芽腫培養細胞と神経膠芽腫幹細胞に対して血管新生抑制剤とNotch阻害剤の相互作用を検討している。今後、併用療法の可能性、神経膠芽腫の新たな治療戦略に貢献するものと考えている。

2. 頚動脈ステント留置後の網膜血流変化

 われわれは、頚動脈ステント留置後に網膜血流が改善していることを報告してきた。現在、Laser Speckle Flowgraphy (LSFG)を用いて、頚動脈ステント留置前後と術後6ヶ月において網膜血流を評価し、中長期的な推移を検討している。

3. 脳振盪におけるfractional anisotropyと神経心理学的評価

 脳振盪に対する放射線学的評価において臨床的に確立されたものはない。われわれは、当科スポーツ頭部外傷専門外来を受診し、頭部外傷後脳振盪と診断された患者を対象とし、神経心理学的評価とfractional anisotropy(FA)を画像化したFA mapを含むMRI像との関連性を検討している。

4. 仙腸関節痛に対する高周波熱凝固術における臨床的検討

 仙腸関節痛は腰痛、下肢痛を呈し、脊椎および脊髄・神経根に由来しない慢性腰痛の一因とされ、難治性のものも少なくない。われわれは、透視下に仙腸関節後方の疼痛部へ電極を穿刺、通電刺激を行い、再現痛の現れた箇所に焼灼を施行している。仙腸関節腔外の後仙腸靱帯をarea分割し、凝固時の再現痛からarea別の関連痛の特徴、疼痛部位との関連を検討する。

5. 脳血流SPECTにおける定性画像による血行力学的脳虚血重症度評価

 脳血流SPECTによる脳虚血の重症度評価には主にIMP-ARG法が用いられている。しかし、ARG法は動脈採血が必要であること、採血時間のズレが解析に影響すること、個人差が考慮されていないなどの問題がある。われわれは、実際に投与されたIMPをキュリーメータで計測し、脳SPECTのカウント画像から脳循環予備能を算出し、健側の中大脳動脈領域を基準としてStage分類を行う解析プログラムの作成を目指している。

6. くも膜下出血後脳血管攣縮に対する経動脈的治療前後の血流動態変化

 くも膜下出血後の脳血管攣縮に対する経動脈的治療の有効性について多くの学会や論文にて発表してきた。現在、新たな試みとして、血管撮影装置のAngio Workstationに新たに搭載されたパラメータをカラー画像化するアプリケーションを用いて、経動脈的治療前後の血流動態の変化について検討している。

7. 頚動脈プラーク内出血発生に関わる血行力学的因子

 われわれは、頚動脈狭窄症に対してMRIによるプラークイメージから、専用アプリケーションを用いてプラークカラーマッピングを作成し、プラーク内出血の評価検討を行ってきた。今回、Computational Fluid Dynamics (CFD)から総頚動脈から内頚動脈分岐部の壁面せん断応力の大きさと方向を解析し、プラーク内出血と血行力学との関連を調べる。

8. 脳動脈瘤コイル塞栓術における経頭蓋MEPモニタリング 

 内頚動脈—前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤の手術治療においては、前脈絡叢動脈の描出を確認していても術後に運動麻痺を生ずる例が存在する。われわれは、内頚動脈—前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤の塞栓術を行う際のmotor evoked potential (MEP)の有用性について検討している。

9. 非接触パネルによる画像ビューア操作環境の構築

 近年、脳神経外科手術中に神経放射線学的画像や術前シミュレーション画像情報などを手術室内の電子カルテやコンピュータ上で操作する機会が増えている。しかし、これを術者自身が清潔操作で行うことはできない。現在、産学連携のもと、空中結像技術(AIプレート)を用いて、空中でマウス操作パネル画面を結像させることにより、手術中に術者自身が接触せずに画像ビューアを操作するシステムを作成し、実用化に向け改良を重ねている。

10. 地域医療支援病院を中心としたスポーツ脳振盪後社会復帰支援モデルの構築

 スポーツ脳振盪の管理は、国際スポーツ脳振盪会議に代表される各種の指針において、身体的脳認知的休息が推奨されている。実際、脳振盪後の脳機能においては、神経疲労や注意障害、集中困難が指摘されており、学生選手についても、学校生活への段階的な復帰が望まれ、米国においては既に全ての州法に休学や試験の免除などが記載され学業復帰への支援体制が構築されている。しかし本邦において脳振盪を来した学生選手が学業復帰するにあたっての支援モデルは存在せず、社会的に大きな問題となっている。われわれは、既存の脳卒中連携パスの方法論を活用して、スポーツ脳振盪を来した学生を対象に、東京都下における地域医療支援病院と教育機関の連携体制を構築し、復学における支援および転機について検証することで、本邦におけるスポーツ脳振盪後社会復帰の問題点を明らかにする。

代表論文

  1. Ishii M, Hayashi M, Yagi F, Sato K, Tomita G, Iwabuchi S: Relationship between the direction of ophthalmic artery blood flow and ocular microcirculation before and after carotid artery stenting. Journal of Ophthalmology Article ID 2530914: 1-6, 2016
  2. Saito N, Aoki K, Hirai N, Fujita S, Iwama J, Hiramoto Y, Ishii M, Sato K, Nakayama H, Harashina J, Hayashi M, Izukura H, Kimura H, Ito K, Sakurai T, Yokouchi Y, Oharazeki T, Takahashi K, Iwabuchi S: Effect of Notch expression in glioma stem cells on therapeutic response to chemo-radiotherapy in recurrent glioblastoma. Brain Tumor Pathol 32: 176-183, 2015
  3. Ishii M, Hayashi M, Sato K, Iwama J, Hirai N, Hiramoto Y, Nakayama H, Harashina J, Saito N, Kimura H, Aoki K, Iwabuchi S: Use of a superficial temporal vein approach for transvenous embolization of a cavernous sinus dural arteriovenous fistura: a case report. Journal of Neuroendovascular Therapy 9: 90-95, 2015
  4. Iwama J, Ogiwara H, Kiyotani C, Terashima K, Matsuoka K, Iwafuchi H, Morota N: Neoadjuvant chemotherapy for brain tumors in infants and young children. Journal of neurosurgery: J Neurosurg Pediatrics 15: 488-492, 2015
  5. Iwabuchi S, Hayashi M, Yokouchi T, Sato K, Nakayama H, Harashina J, Iwama J, Ishii M, Hiramoto Y, Hirai N, Hirata Y, Saito N, Ito K, Kimura H, Aoki K: Prophylactic intra-arterial administration of fasudil hydrochloride for vasospasm following subarachnoid haemorrhage. Acta Neurochir Suppl 120: 167-169, 2015
  6. Saito N, Fu J, Zheng S, Yao J, Wang S, Liu DD, Yuan Y, Sulman EP, Lang FF, Colman H, Verhaak RG, Yung WK, Koul D: A high Notch pathway activation predicts response toγ-secretase inhibitors in proneural subtype of glioma tumor initiating cells. Stem Cells 32: 301-312, 2014
  7. Iwabuchi S, Yokouchi T, Hayashi M, Sato K, Saito N, Hirata Y, Harashina J, Nakayama H, Akahata M, Ito K, Kimura H, Aoki K: Intra-arterial adoministration of fasudil hydrochloride for vasospasm following subarachnoid haemorrhage: Experience of 90 cases. Acta Neurochir Suppl 110: 179-182, 2011
  8. Saito N, Aoki K, Sakurai T, Ito K, Hayashi M, Hirata Y, Sato K, Harashina J, Akahata M, Iwabuchi S: Linezolid Treatment for Intracranial Abscesses Caused by Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus -Two Case Reports-. Neurol Med Chir (Tokyo) 50: 515-517, 2010
  9. Saito N, Hatori T, Aoki K, Hayashi M, Hirata Y, Sato K, Nakayama H, Harashina J, Murata N, Zhang ZA, Nonaka H, Shibuya K, Iwabuchi S: Dynamics of global gene expression changes during brain metastasis formation. Neuropathology 29: 389-397, 2009
  10. Iwabuchi S, Yokouchi T, Terada H, Hayashi M, Kimura H, Tomiyama A, Hirata Y, Saito N, Harashina J, Nakayama H, Sato K, Hamazaki K, Aoki K, Samejima H, Ueda M: Automated voxel-based analysis of brain perfusion SPECT for vasospasm after subarachnoid haemorrhage. Acta Neurochir Suppl 104: 219-223, 2008

教育の概要

学部

  1. 臨床医学各論Ⅰ 脳・神経系(6コマ)(2017年度 秋学期 3年生)
    当科では中枢神経の臨床解剖(中山講師)、脳膿瘍・感染・脊髄腫瘍(櫻井講師)、頭部外傷(青木准教授)、転移性脳腫瘍・悪性リンパ腫(青木准教授)、脳血管障害(岩渕教授)、脳血管障害の外科治療(岩渕教授)を担当している。
  2. 臨床実習(5年次)
    直接患者さんや医療スタッフと接しながら、医療従事者として不可欠な責任感や指導力、協調性などを学ぶと同時に、診療参加型臨床実習により、勉学に対する動機付けを得、診断や治療を考えるプロセスを学ぶ。
  3. 選択制臨床実習(6年次)
    M5での脳神経外科学実習経験を踏まえ、準研修医として更に高度の知識を習得する。指導医のもと実際の処置、操作等について必要な基本的技術を習得するとともに、優れた臨床医としての必要な態度、価値観、習慣を身に付ける。また最新の医療現場を見学し、日進月歩する医療に対応できる順応性を養い、自らの能力を生涯向上させる姿勢と習慣を身に付ける。

大学院

 本学の大学院医学研究科規定に従って、生命に対する畏敬の念をもって独創的な研究活動を展開できる医学研究者と、高度かつ専門的な医療知識・技術を修得し、診療に根ざした臨床研究を国際的視野に立って展開する能力をもつ指導的医療人を育成することを目標としている。
 「脳・神経」については未だ解明されていないことも多く、そのため治療困難な疾患も少なくない。脳神経外科の領域でも脳虚血による神経保護や神経膠芽腫の治療抵抗性など直面している課題も多い。大学院研究テーマは本質的には本講座で行われている研究活動をもとに実施されるが、博士課程医学専攻者には基礎研究に従事することを原則にしている。そのため、本学のみならず他大学、他機関の基礎医学教室や民間企業とも協力・連携が図られている。

診療の概要

 脳血管外科治療、カテーテルによる脳血管内治療、脊椎・脊髄外科、脳腫瘍外科、機能的脳神経外科手術、神経内視鏡手術、脊髄刺激療法など昨年の全手術件数は413件であった。また救急入院患者の治療、手術例を含めても平均在院日数も15日と合併症の少なさを示している。
 当院では脳卒中PHSの専用ダイヤルを設置しており、365日24時間体制で脳卒中診療にあたっている。そのためStroke Care Unit (SCU)の稼働率は常時90%を超え、毎朝医師、看護師、パラメディカルと合同でカンファレンスを行い、問題点を抽出しながらチーム内での情報共有を図っている。
 また、外来診療においても、当科では脳血管障害、脳腫瘍専門外来に加え、スポーツ頭部外傷外来、認知症外来などの専門外来を開設しているため、多くの紹介患者が来院し、紹介率、逆紹介率は毎月100%を超えている。

その他

社会貢献

脳卒中医療連携
 世田谷区、目黒区、渋谷区が位置する東京都区西南部医療圏には139万人が居住している。本医療圏にt-PA治療可能な脳卒中急性期医療機関は13施設あるが、その中で脳神経血管内治療医が所属しているのは8施設に留まり、うち7施設は治療医1名である。そこで当施設が中心となって、平成26年12月に本医療圏内で「区西南部drip(t-PA静注), ship(搬送), retrieve(血栓回収)会」を立ち上げ、現在脳梗塞治療で最も注目されている急性期血栓回収療法を一人でも多くの患者さんに届けられるように医療圏内で病々連携を図り、救急隊の協力を得てt-PAを投与しながら、その時に脳神経血管内治療医が対応できる病院に搬送するシステムを構築し運用している。

学会活動

学会開催・開催予定
 日本脳神経血管内治療学会関東地方会 主催(2012年6月)
 日本脳神経外科学会関東支部会 主催(2013年4月)
 第117回東京脳腫瘍研究会 主催(2015年11月)
 第18回新都心神経内視鏡症例検討会 主催(2017年5月)
 2018 China-Japan Cerebrovascular Disease Forum 主催(2018年3月)
 第74回関東脳神経外科懇話会 主催(2018年7月)
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151