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脳神経外科学講座(大森)

所属教員名

周郷延雄 / 教 授
根本匡章 / 准教授
原田直幸 / 講 師  
近藤康介 / 助 教
桝田博之 / 助 教
安藤俊平 / 助 教

運営責任者

講座の概要

本講座は、昭和34年4月、本学の外科学分野の発展に伴う専門性の分化から外科学第1講座と第2講座となり、外科学第2講座の中の脳神経研究班として始まっております。脳浮腫やグリオーシスの生化学的研究を行い、多数の先輩方が学位論文を執筆されました。昭和55年7月に脳神経外科研究室に昇格、昭和56年4月本教室草創期の先輩方のご尽力で脳神経外科学講座が誕生し、初代主任教授として都立駒込病院部長であった寺尾榮夫先生が就任されました。その後、柴田家門教授(現名誉教授)、清木義勝教授(現客員教授、清木クリニック院長)が継がれました。昭和57年に大橋病院脳神経外科が発足、平成3年9月に佐倉病院脳神経外科に初代教授として勝目幹朗先生が就任され、現在の三病院での診療体制が整備されました。平成21年4月から周郷が本講座責任者となり、現在に至っております。

研究の概要

1. 3Dプリンターによる立体モデル作製に関する研究

私たちの教室では、これまでに三次元医療画像に関する研究を行い、いくつかの画像データを組み合わせた頭蓋骨や脳の三次元合成画像を作成し、術前検討として手術シミュレーションに活用してきました。近年では、3Dプリンターを用いて石膏を基にした立体模型を作製し、脳神経外科の手術教育や手術シミュレーションへの有用性を検討しています。私たちは、3Dプリンターを医療に応用するために、単に立体模型を作製するのみではなく、様々な造形法を考案しています。そのひとつとして、脳深部の解剖学的部位を透見できるように立体模型の一部を網目状構造にする造形法を開発いたしました。また、頭蓋底部における骨内部の微小な解剖学的部位をそれぞれ色付けした模型を作製しております。これにより、骨を削除していくと異なる色が露出されることで解剖学的部位が認識でき、手術練習に役立ちます。

2. 脳腫瘍の硬度に関する研究

脳腫瘍の硬さ(硬度)は、手術治療の難度に影響を及ぼす重要な因子のひとつです。一般的に腫瘍が硬い場合には、単純に摘出率が低下するのに加えて、摘出時における周囲正常脳組織への圧迫が強くなり、術後合併症の危険性が増します。しかし、これまで脳腫瘍の硬度については、術者が術中所見から主観的に評価するのみであり、客観的に数値化した報告はほとんどありませんでした。術前に脳腫瘍の硬度を予測できれば、治療方法や手術手技の選択、術中に使用する手術機器の事前準備、術後合併症の予測、術前インフォームドコンセントにおける詳細な説明、病理所見の予測等、臨床的に有用な情報を与えてくれると考えられます。われわれは、硬度測定器を用いて手術摘出した腫瘍の硬度を測定し、術前神経放射線学的画像所見との比較を行い、術前における腫瘍硬度の予測ができるかどうかを検討しています。

3. 頸動脈プラークの物理的性状に関する研究

脳梗塞をきたす病変は、ラクナ梗塞のごとく細い脳動脈の閉塞と、頭蓋内主幹動脈や頸部頸動脈などの太い動脈の狭窄・閉塞に大きく分類されます。特に頸部頸動脈狭窄症は、食生活の欧米化や高齢化によって増加し、その手術例も多くなっています。頚部頸動脈狭窄症に対する外科治療には、頸動脈内膜剥離術(全身麻酔下に頸部を切開して、頸動脈内を狭窄させているプラークという病変を取り除く手術)と、頸動脈ステント留置術(血管内手術のひとつで、頸部頸動脈内にステントという金属性の筒を挿入し、狭窄部位を内部から拡げる手術)があります。これらの重大な手術合併症として新たな脳梗塞の発生が挙げられ、その原因は、頸動脈内を狭窄させているプラークという病変の一部が外科的操作によって剥がれて末梢の動脈を塞栓することにあります。特に軟らかいプラークでは末梢血管への塞栓の危険性が高いとされます。しかし、実際にプラークの物理的性状を客観的に評価した報告はほとんどありません。私たちは、頸動脈内膜剥離術で摘出したプラークの硬度を硬度計で計測し、病理所見ならびに術前画像所見と比較することで、術前にプラークの硬度を予測できるかを検討しています。

4. 頸動脈内膜剥離術前後における頭蓋内血流の変化と高次脳機能の関連性について

高次脳機能とは、記憶、注意、遂行機能、社会行動などの認知機能のことであり、これが障害されると日常生活や社会生活に支障をきたします。特に前頭葉は遂行機能などを中心として高次脳機能に深く関与しており、前頭葉の循環動態の変化が高次脳機能へ影響を及ぼす可能性があります。頸動脈内膜剥離術は頸動脈狭窄症に対する手術方法のひとつであり、脳梗塞の予防を目的として施行されます。術後には主に前頭葉を含む前方循環の脳血流の改善が得られますが、その血流変化が高次脳機能にどのように影響を及ぼすかは未だ明らかにされていません。私たちは、この血流の変化をNIRS脳計測装置や脳血流SPECTで測定し、神経心理学的手法を用いて検査した高次脳機能の変化との関連性を検討しています。両者に関連する因子が見出せれば、手術手技の選択、合併症の軽減、長期的なADLの展望など、臨床的に有用な情報を得ることができると考えています。

代表論文

  1. Goto S, Xue R, Sugo N, Sawada M, Blizzard KK, Poitras MF, Johns DC, Dawson TM, Dawson VL, Crain BJ, Traystman RJ, Mori S, Hurn PD : Poly (ADP-ribose) polymerase impairs early and long-term experimental stroke recovery. Stroke 33 : 1101-1106, 2002
  2. Sugo N, Hurn PD, Morahan MB, Hattori K, Traystman RJ, Devris AC:Social stress exacerbates focal cerebral ischemia in mice. Stroke 33 : 1660-1664, 2002
  3. Dore S, Otsuka T, Mito T, Sugo N, Hand T, Wu L, Hurn PD, Traystman RJ, Andreasson K: Neuronal overexpression of cyclooxygenase-2 increases cerebral infarction. Ann Neurol 54 : 155-162, 2003
  4. Sugo N, Yokota K, Kondo K, Harada N, Aoki Y, Miyazaki C, Nemoto M, Kano T, Ohishi H, Seiki Y : Early dynamic thallium-201 SPECT in the evaluation of brain tumors. Nucl Med Commun27: 143-149, 2006
  5. Harada N, Kondo K, Miyazaki C, Nomoto J, Kitajima S, Nemoto M, Uekusa H, Harada M, Sugo N:Modified Three-dimensional Brain Model for the Study of a Trans-sylvian Approach. Neurol Med Chir (Tokyo) 51, 567-571, 2011
  6. Uekusa H, Miyazaki C, Kondo K, Harada N, Nomoto J, Sugo N, Nemoto M. Hydroperoxide in internal jugular venous blood reflects occurrence of subarachnoid hemorrhage-induced delayed cerebral vasospasm. J Stroke Cerebrovasc Dis. 23: 2217-2224, 2014
  7. Kondo K, Nemoto M, Masuda H, Okonogi S, Nomoto J, Harada N, Sugo N, Miyazaki C. Anatomical Reproducibility of a Head Model Molded by a Three-dimensional Printer. Neurol Med Chir (Tokyo) 55(7), 592-598, 2015
  8. Kondo K, Harada N, Masuda H, Sugo N, Terazono S, Okonogi S, Sakaeyama Y, Fuchinoue Y, Ando S, Fukushima D, Nomoto J, Nemoto M: A Neurosurgical Simulation of Skull Base Tumors using a 3D Printed Rapid Prototyping Model containing Mesh Structures. Acta Neurochir (Wien) 158: 1213-1219, 2016
  9. Kondo K, Nemoto M, Harada N, Fukushima D, Masuda H, Sugo N.: Comparison between the quantitative stiffness measurements and ultrasonographic findings of fresh carotid plaques. Ultrasound Med Biol. 2017 Jan;43(1):138-144.
  10. Okonogi S, Kondo K, Harada M, Masuda H, Nemoto M, Sugo N: Operative simulation of anterior clin1oidectomy using rapid prototyping model molded by a three-dimensional printer. Acta Neurochir (Wien) doi: 10.1007/s00701-017-3202-4, 2017

教育の概要

学部

  1. 神経系講義(3年次 Ⅱ期7コマ)
    脳神経外科の基本的知識とともに、各論として脳腫瘍、水頭症奇形、脳神経外科の周術期について教育しています。
  2. 脳神経学テュートリアル(3年次 Ⅱ期9コマ)
    神経疾患患者のシナリオを用いて、小人数のグループワーキングによって実際の臨床に即した考えや知識を身につける教育を行っています。
  3. 臨床実習(4年次Ⅲ期から5年次Ⅱ期)
    脳神経外科と神経内科が混合で3週間に実習を行います。脳神経外科ではミニレクチャーや病棟回診、手術見学のほか、顕微鏡下血管吻合練習、立体模型を用いたドリリング練習などを取り入れています。
  4. 選択臨床実習(6年次Ⅰ期)
    通常の臨床実習よりも当教室医師の業務にほぼ近い内容で実習を行います。手術、血管撮影、気管切開などについては、指導医の責任のもとで助手相当の手技を行っています。

大学院

脳神経外科の基礎および臨床を習得し、かつ最先端の知見や治療法に関する研究を学びます。研究テーマは、基礎的研究や臨床研究の中から指導医とともに研究テーマを決めます。関連する論文を読んで知識を深めつつ、研究目的を設定し、それを遂行するための方法論を考案、最終的に結果をまとめ、学会発表を経て学位論文を執筆投稿します。

診療の概要

当教室は日本脳神経外科学会のプログラムの基幹施設であり、年間手術件数は350件前後です。様々な手術術式を幅広く手掛けており、脳血管障害では、脳動脈瘤ネッククリッピング術、脳内血腫除去術、頸部頸動脈狭窄症に対する頸動脈内膜剥離術、浅側頭動脈中大脳動脈吻合術などです。脳腫瘍では病理学的分類や発生部位に応じて、頭蓋内腫瘍摘出術、頭蓋底外科手術、定位脳生検術、神経内視鏡手術などを行い、必要な際には放射線化学療法を行います。手術難度の高い頭蓋底外科では、術前に三次元合成画像や3Dプリンターによる立体模型を作成し、十分に術前検討を行った上で手術を計画します。開頭手術のほか、カテーテルを用いた治療である血管内手術として、脳動脈瘤内塞栓術、腫瘍内血管塞栓術、急性血行再建等も行っています。脊椎脊髄疾患においては当施設の整形外科と協力し、特に脊髄腫瘍摘出術を担っています。そのほか、機能的疾患である顔面けいれんに対する微小血管減圧術や、小児科や新生児科とともに小児脳神経外科も行っています。定位脳放射線治療は放射線科と協力しながら主に転移性脳腫瘍に対して治療しています。三次救急を受け入れていることから重症例が多く、脳神経外科手術を要する症例には24時間体制で対応しています。

その他

社会貢献

運営責任者および教室員の主な公的役職:
厚生労働省:脳死下での臓器提供事例に係る検証会議委員
国民健康保険中央会診療報酬特別審査委員会委員
社会保険診療報酬支払基金審査員

学会活動

  1. 運営責任者の主な学会役職
    日本脳神経外科学会評議員・代議員、日本老年脳神経外科学会世話人、日本脳神経外科漢方医学会理事、日本CI学会評議員、日本脳神経外科学会関東支部会世話人、日本意識障害学会理事、日本脳腫瘍病理学会評議員、日本血管内治療学会評議員、日本脳腫瘍の外科学会評議員、日本脳神経外科救急学会幹事、日本頭蓋底外科学会評議員、日本神経内視鏡学会運営委員、大田区脳血管障害研究会代表世話人、脳神経外科疾患の臨床と病理のJOINT CONFERENCE代表世話人、関東脳核医学研究会世話人、ニューロ・オンコロジィの会世話人、東京脳腫瘍治療懇話会世話人
  2. 学会開催予定
    2019年7月 第28回日本意識障害学会
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151