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臨床検査医学研究室(佐倉)

所属教員名

武城 英明 / 教 授

運営責任者

研究室概要

臨床検査医学研究室(佐倉)は、1991年、東邦大学医療センター佐倉病院開院とともに設置された臨床検査部(部長代行富岡玖夫内科教授)に、1993年、臨床検査部部長および研究室助教授として白井厚治先生が赴任され始まり、1997年7月、白井厚治先生が初代教授に就任されました。2003年7月、白井先生の内科教授就任とともに研究室は中断し、病院病理学研究室蛭田啓之講師が臨床検査部部長を兼任しました。2013年4月より研究室の二代目教授に武城が赴任し、現在に至っています。また、2004年10月に佐倉病院研究開発部が設置され(亀田典章病院病理部部長が部長兼任)、2010年4月より蛭田病院病理部部長が部長代行に就任、2013年4月より武城が部長兼任しています。なお、2016年、研究開発部は医学研究部に改名されました。

研究の概要

難治性脂質異常症の病態解明と治療法の探索
血中脂質であるコレステロールやトリグリセリドが高値となることで臓器障害が引き起こされます。高コレステロール血症による重大な合併症は血管障害であり動脈硬化症です。これらは心筋梗塞や脳梗塞につながります。高トリグリセリド血症は、急性膵炎を引き起こすとともに糖尿病と関連します。このような臓器障害に結びつく脂質異常症の原因には遺伝因子と環境因子が複雑に絡みます。もっとも遺伝的要因が大きい脂質異常が原発性脂質異常症で、当研究室ではそのような患者さんの診療とともにより効果のある治療を考えベッドサイドからベンチに、ベンチから患者さんに結びつく研究を行っています。
  1. 家族性高コレステロール血症
    生来、コレステロール値が300−1000mg/dlと高値で幼少期より心筋梗塞を発症します。その頻度は300−500人に一人と高く、臨床的にも基礎的にも治療の進展が期待されている病気です。近年、LDL受容体に加えて、他の遺伝子異常でも生じることがわかりました。病態解明と治療に関わる臨床研究を行っています。
  2. 原発性低HDLコレステロール血症
    血中コレステロール値が低値の場合も動脈硬化症や臓器障害を合併します。引き起こされる臓器障害は低コレステロール血症の原因によりさまざまで、マクロファージからコレステロールを引き抜く入り口の分子であるABCA1が欠損すると著しい動脈硬化が起き(タンジール病)、引き抜いたコレステロールをエステル化する酵素が欠損すると腎不全が起きます(LCAT欠損症候群)。これらの臓器不全の機序解明を目指しています。
  3. 原発性高カイロミクロン(トリグリセリド)血症
    食事由来の血中トリグリセリドは血管内皮にあるリポタンパクリパーゼで分解され脂肪細胞などに取り込まれます。リパーゼが障害されるとトリグリセリド値が1000−8000mg/dlと高値になり急性膵炎を発症します。リパーゼとトリグリセリドの反応形式はきわめて複雑で反応環境により増悪する場合や改善する可能性もあります。このようにしてリパーゼやその環境因子の分子異常を解明し、合併症の予防と治療を探索しています。
病的基盤である病的細胞変化の分子機序と治療応用
病気が発症したり増悪する過程でみられる生体の変化に、正常組織の高度に分化した細胞がその機能を失ったり新たな機能を獲得することで組織や個体としての制御や調和が乱れることが挙げられます。そのような病的に変化した細胞に起因して起こる病気にがんがあり、機能制御が破綻しホメオスターシスが維持できなくなる病気に代謝病や血管病があります。当研究室では、代謝病や動脈硬化症の原因となる脂肪細胞と血管細胞に焦点を当て、細胞生物学的に分子解明し、新たな細胞検査に基づいた細胞治療を探索しています。
  1. 脂肪細胞
    個体に過剰な脂肪が蓄積した状態である肥満は代謝病や血管病を高い頻度で伴います。とりわけ、糖尿病を合併するとさまざまな臓器障害へと進展します。肥満に伴った糖尿病でみられる細胞の変化はまず脂肪細胞自体でみられます。糖尿病の脂肪細胞はインスリンへの反応性が減弱するなどさまざまな変化が表れ、その一つに、健康な状態でみられる脂肪細胞の性質変化である白色脂肪から褐色(ベージュ)脂肪への置き換わりが生じにくくなります。脂肪を貯める白色細胞から脂肪を燃やす褐色細胞への変換が障害されることで個体のエネルギー消費は減少し治療反応性が低下します。ヒトにおける脂肪細胞ブラウニング変換調節の解明とそれを促す新たな糖尿病治療を目指しています。
  2. 血管細胞
    動脈硬化の病態は原因によりさまざまな病像を形成します。一度始まった動脈硬化の進展と治療反応性を規定する細胞に血管平滑筋細胞があります。血管中膜にある平滑筋細胞は、通常は血管収縮を制御するきわめて分化した機能をもつ細胞ですが、動脈硬化を起こす何らかの刺激によりそのフェノタイプを変え、収縮能を喪失し、活発な合成能や増殖、遊走能、マトリックスやプロテアーゼ産生能をもつ細胞へと変換します。このフェノタイプ変換した細胞の機能は、環境により動脈硬化を進展させることにも抑制する方向にも結びつきます。血管平滑筋細胞のフェノタイプ変換の分子機構とそれを反映し診療で動脈硬化巣の細胞状態を評価できるバイオマーカーを探索しています。

代表論文

  1. Berk KA, Vongpromek R, Jiang M, Schneider WJ, Timman R, Verhoeven AJ, Bujo H, Sijbrands EJ, Mulder MT. Levels of the soluble LDL receptor-relative LR11 decrease in overweight individuals with type 2 diabetes upon diet-induced weight loss. Atherosclerosis. 22:67-72, 2016.
  2. Jiang L, Konishi H, Nurwidya F, Satoh K, Takahashi F, Ebinuma H, Fujimura K, Takasu K, Jiang M, Shimokawa H, Bujo H, Daida H. Deletion of LR11 Attenuates Hypoxia-Induced Pulmonary Arterial Smooth Muscle Cell Proliferation With Medial Thickening in Mice. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 36:1972-2, 2016.
  3. Kosaka K, Kubota Y, Adachi N, Akita S, Sasahara Y, Kira T, Kuroda M, Mitsukawa N, Bujo H, Satoh K. Human adipocytes from the subcutaneous superficial layer have greater adipogenic potential and lower PPAR-γ DNA methylation levels than deep layer adipocytes. Am J Physiol Cell Physiol. 311:C322-9, 2016.
  4. Ozawa K, Funabashi N, Bujo H, Takaoka H, Kobayashi Y. Fair prognosis in heterotypic familial hypercholesterolemia subjects with statin use even with severe coronary calcification and radiation exposure from CT: A median 88.5-month follow-up study. Int J Cardiol. 223:827-828, 2016.
  5. Watanabe K, Suzuki H, Jiang M, Haniu H, Numano F, Hoshina S, Saitoh A, Uchiyama M, Bujo H. Soluble LR11 is a novel biomarker for vascular lesions late after Kawasaki disease. Atherosclerosis. 29: 94-97, 2016.
  6. Ogita M, Miyauchi K, Kasai T, Tsuboi S, Wada H, Naito R, Konishi H, Dohi T, Tamura H, Okazaki S, Yanagisawa N, Shimada K, Suwa S, Jiang M, Bujo H, Daida H. Prognostic impact of circulating soluble LR11 on long-term clinical outcomes in patients with coronary artery disease. Atherosclerosis. 244:216-21, 2016.
  7. Jin W, Jiang M, Han X, Han X, Murano T, Hiruta N, Ebinuma H, Piao L, Schneider WJ, Bujo H. Circulating soluble form of LR11, a regulator of smooth muscle cell migration, is a novel marker for intima-media thickness of carotid arteries in type 2 diabetes. Clin Chim Acta. 457:137-41, 2016.
  8. Terai K, Jiang M, Tokuyama W, Murano T, Takada N, Fujimura K, Ebinuma H, Kishimoto T, Hiruta N, Schneider WJ, Bujo H. Levels of soluble LR11/SorLA are highly increased in the bile of patients with biliary tract and pancreas cancers. Clin Chim Acta. 457:130-6, 2016.
  9. Murano T, Yamaguchi T, Tatsuno I, Suzuki M, Noike H, Takanami T, Yoshida T, Suzuki M, Hashimoto R, Maeno T, Terai K, Tokuyama W, Hiruta N, Schneider WJ, Bujo H. Subfraction analysis of circulating lipoproteins in a patient with Tangier disease due to a novel ABCA1 mutation. Clin Chim Acta. 452:167-72, 2016
  10. Whittle AJ, Jiang M, Peirce V, Relat J, Virtue S, Ebinuma H, Fukamachi I, Yamaguchi T, Takahashi M, Murano T, Tatsuno I, Takeuchi M, Nakaseko C, Jin W, Jin Z, Campbell M, Schneider WJ, Vidal-Puig A, Bujo H. Soluble LR11/SorLA represses thermogenesis in adipose tissue and correlates with BMI in humans. Nature Commun. 6:8951, 2015.

教育の概要

学部

現在、医学部領域ユニットを担当していません。佐倉病院の診療科で臨床実習に参加している学生のそれぞれの臨床実習と採血実習を支援しています。
平成29年度より開講予定の新ユニット『医学研究』で総説コース、原著コースともに学生さんを受け入れます。ぜひ積極的なチャレンジを期待しています。
東邦大学理学部4年生の臨床コース病院実習、佐倉看護専門学校学生の病院実習を受け入れています。

大学院

医化学専攻修士課程
共通選択 臨床検査医学特論 分担(実施責任者盛田俊介先生)(2単位)
専攻科目 代謝機能制御系 臨床検査医学 演習 実習 分担(実施責任者盛田俊介先生)(16単位)
医化学専攻博士課程
専攻科目 代謝機能制御系 臨床検査医学 特論I・II 演習 実習 分担(実施責任者盛田俊介先生)(20単位)
専攻科目 代謝機能制御系(non MD course) 臨床検査医学 特論I・II 演習 実習 分担(実施責任者盛田俊介先生)(20単位)

『研究の概要』に広く関わる基礎的または臨床研究テーマについて、日々の実験、解析を積み重ねて、その結果を考察、深く討論し、最終的に論文を完成します。それまでに多くの学会で研究発表を担当します。これらを通じて研究マインドの育成、研究者としての熟成、研究指導者への進展を支援します。

診療の概要

佐倉病院の臨床検査部業務を担当しています。部長武城、副部長蛭田はじめ病院職員全11名(併任を含む)、出向臨床検査技師(LSIメディエンス社)15名により、佐倉病院中央施設部門である臨床検査診断センター1部署として他の部署や診療科と連携し、日常診療のなかでおもに検体検査に関わる検査業務を担っています。さらに、採血室支援や特殊検査、輸血部当直支援、治験、精度管理、安全管理、細菌・遺伝子検査、ICTとNSTへの参画、リプロダクション業務や糖尿病教室支援、研修医オリエンテーションプログラムの支援、教育支援室補助業務なども行っています。また、センターの他部署である医学研究部に、複数の職員が兼任し管理運営を担当し、院内基礎研究および理学部との共同研究を支援しています。また、内科と連携し、難治性脂質異常症の専門外来や糖尿病教室の検査診療教育を担当しています。

その他

社会貢献

厚生労働科学研究費難治性疾患等政策研究事業『原発性高脂血症に関する調査研究』に参加し特定難病疾患の診断基準作成に携わり、日本医療研究開発機構(AMED)研究地球規模保健課題解決推進のための研究『日米医学協力計画を基軸にしたアジアの栄養・代謝に関する疫学・介入研究と人材育成』(分担または協力)ではアジア地域の栄養に関わる診療と医療関係者、栄養研究者の育成事業に参加しています。地域活動として、平成6年より臨床検査診断治療談話会を開催し千葉県内の臨床検査技師、医師などの研究教育に関わる啓蒙活動を行っています。これらの活動に加えて、さまざまな班研究調査、地域講演、市民公開講座などを担当し、学生の施設見学も受け入れています。

学会活動

日本臨床検査医学会、日本医学検査学会、日本臨床検査自動化学会、日本臨床化学会、日本臨床微生物学会などの臨床検査領域の学術集会とその地方会に参加し研究発表を行っています。専門領域である日本動脈硬化学会、小児脂質研究会などでは、評議員、理事、運営委員として専門委員会や会の運営に参加し、国内学会誌および欧州動脈硬化学会誌などの編集委員、査読を担当しています。また、これらの学会情報を院内にいち早く啓蒙するために研究推進談話会を年4回開催し若手や中堅研究者の育成を支援し、院内情報誌佐倉タイムスに臨床検査に関わる最新の研究記事を掲載しています。
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151