医学部

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臨床検査医学研究室(大森)

所属教員名

盛田 俊介 / 教 授

運営責任者

講座の概要

臨床検査医学研究室の教授が前任の芳野原先生であった2001年10月、盛田が助教授として赴任。その後、芳野教授の糖尿病代謝内科の教授就任に伴い、2004年7月より臨床検査部部長ならびに2006年6月より臨床検査医学研究室の教授を拝命し現在に至っております。現在、教員は1名でありますが、医療センター大森病院臨床検査部の臨床検査技師とともに集積される貴重な臨床検体を活用した臨床研究ならびに基礎研究を「BenchからBedside」の理念の下、活発に行っております。

研究の概要

メタボリック症候群の増加と急速な高齢化が進む現在、その合併症である心血管疾患の予防は健康な老後に重要です。この心血管疾患の基盤となる病変が血管の加齢性変化ですが、その発症と進展には酸化ストレスならびに慢性炎症性反応が中心的役割を演じています。当教室ではこれらを背景に、加齢、高血圧、心腎連関をテーマに研究を行っています。
  1. Heme oxygenase に関する研究
    Heme Oxygenase(HO)は、体内でヘムを代謝して鉄イオン、ビリベルジンと一酸化炭素(CO)を放出産生する酵素であり、2つのアイソザイム(誘導型のHO-1と構成型のHO-2)の存在が知られています。鉄イオンはフェリチン産生を促し、またビリベルジンはビリルビンに還元され、そのいずれもが抗酸化作用を発揮します。また、私たちはこれまでの研究で、COには増殖因子の産生抑制を介した抗細胞増殖作用や血管透過性抑制作用、接着分子抑制を介するマクロファージ遊走阻止作用、さらにはP38MAPKを介する抗炎症作用、アンジオテンシンIIによる血管傷害を抑制する作用が存在することを明らかにしてきました。
    現在、自ら樹立した血管平滑筋特異的HO-1過剰発現マウスを利用して、HO-1による心血管病変進展抑制の可能性ならびに呼吸器内科と共同で肺高血圧合併肺臓炎モデルにおけるHO/ CO系の意義を検討中です。
  2. 心腎連関に関する研究
    慢性腎臓病(CKD)は心血管疾患(CVD)の独立した危険因子ですが、そのメカニズムには不明な点が多く存在します。当院臨床検査部では、以前からCKDと尿毒症物質、インドキシル硫酸(IS)の関わりに注目して、血中ISが高い患者ほど①腎機能障害の進展が速いこと(Rinsho Byori.58:448-453,2010)、②冠動脈疾患の罹患率が高いこと(Int J Anal Bio-Sci 2:52-57,2014)を明らかにしてきました。私たちはこれら臨床における現象・疑問からISに着目して、CKDにおけるCVD発症のメカニズム解析に着手し、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いた研究により、ISがアリル炭化水素受容体(AhR)の作動性物質のひとつであることを明らかにし、ISによるAhRの活性化がROSの産生を介してSirt1活性を抑制し、血管老化を惹起することで、血管内皮細胞の障害に関わることを報告しました(Circ J.74:2216-2224,2010)、(Circ J.77:224-230,2013)、(J Atheroscler Thromb. 21: 904-16, 2014)。
    近年の内外の研究により、AhRリガンド結合領域にポリフェノール類が結合することや、ポリフェノール類が結合した状態ではダイオキシン類が結合できなくなることが明らかとなっています。現在これらの背景をもとに、ポリフェノール類によるIS-AhR経路の遮断が心腎連関抑制に繋がる可能性を継続して検討中です。
  3. 飲用水素水に関する研究
    最近の研究から水素分子H2は生理活性をもつガス分子と考えられるようになっていますが、その作用機序には不明な点がいまだ多く存在します。当研究室ではH2が細胞老化の抑制に関わる可能性を検討し、血管内皮細胞においてH2は、転写因子Nrf2の活性化を介する抗酸化作用と抗老化作用を示すことを報告しました(Circ J .80:2037-46,2016)。これまでの臨床研究では、一般社会で関心の高いメタボリックシンドローム、2型糖尿病、IGT患者において水素水の間歇的な飲用は、酸化ストレスを軽減し糖代謝を改善することが報告されていますが、その詳細な作用機序は明かではありません。現在これらに着目して、脂肪組織ならびに骨格筋におけるAhR活性にかかわるリガンドを同定し、水素水の間歇的な飲用がインスリン抵抗性を抑制し糖代謝を改善する作用機序の解明を目指して実験を始めています。
  4. 臨床的研究
    様々な診療科の依頼に基づき、各種疾患の病勢把握あるいは予後予測因子となり得る新たなバイオマーカーの発見に向けて、高度な測定技術を用いて臨床検体中の生理活性物質等の測定法の構築ならびに測定を行っています。
  5. 産学連携
    本学産学連携センターを通じて大田区ならびに富山県の企業と産学連携契約を結び、血管特性測定を目的とした新規ディバイスならびに組織医療に資する新規材料の開発応用を担当しております。

代表論文

  1. Hara F, Tatebe J, Watanabe I, Yamazaki J, Ikeda T, Morita T. Molecular Hydrogen Alleviates Cellular Senescence in Endothelial Cells. Circ J.80:2037-46, 2016
  2. Koizumi M, Tatebe J, Watanabe I, Yamazaki J, Ikeda T, Morita T. Aryl hydrocarbon receptor mediates indoxyl sulfate-induced cellular senescence in human umbilical vein endothelial cells. J Atheroscler Thromb. 21: 904-16, 2014
  3. Namba S, Okuda Y, Sano M, Kojima T, Morimoto A, Watanabe I, Morita T. Indoxyl sulfate is an independent risk factor for coronary heart disease in patients with chronic kidney disease. Int J Anal Bio-Sci 2: 52-57, 2014
  4. Watanabe I, Koizumi M, Tatebe J, Ikeda T, Morita T. Vascular Senescence in Chronic kidney Disease; Association of Aryl Hydrocarbon Receptor Activated by Indoxyl Sulfate. Receptors & Clinical Investigation 1:258-263, 2014
  5. Watanabe I, Tatebe J, Namba S, Koizumi M, Yamazaki J, Morita T.Activation of aryl hydrocarbon receptor mediates indoxyl sulfate-induced monocyte chemoattractant protein-1 expression in human umbilical vein endothelial cells. Circ J. 77:224-30, 2013
  6. Tatebe J, Morita T. Enhancement of TNF-α expression and inhibition of glucose uptake by nicotine in the presence of a free fatty acid in C2C12 skeletal myocytes. Horm Metab Res. 43:11-16, 2011
  7. Masai N, Tatebe J, Yoshino G, Morita T. Indoxyl sulfate stimulates Monocyte chemoattractant protein-1 expression in human umbilical vein endothelial cells by inducing oxidative stress through activation of the NADPH oxidase-nuclear factor-κB pathway. Circ J 74: 2216-2224, 2010
  8. Morita T, Imai T, Sugiyama T, Katayama S, Yoshino G: Heme oxygenase-1 in vascular smooth muscle cells counteracts cardiovascular damage induced by angiotensin II.Current Neurovascular Research 2: 113-120, 2005
  9. Morita T: Heme oxygenase and atherosclerosis. Arterioscler Thromb Vasc Biol 25: 186-95, 2005
  10. Imai T, Morita T, Shindo T, Nagai R, Yazaki Y, Kurihara H, Suematsu M, Katayama S: Vascular smooth muscle cell-directed overexpression of heme oxygenase-1 elevates blood pressure through attenuation of nitric oxide-induced vasodilation in mice. Circ Res 89: 55-62, 2001.

教育の概要

学部

領域:臨床医学入門
サブ領域:医学総論、ユニット:臨床検査・生理機能検査演習
(対象学年 2年、授業期間 3期 ユニット時限数 15、分類 演習)
本科目においては、臨床検査・生理機能検査に関する基礎的知識から人体の構造・機能を学ぶとともに、全体演習ではRCPC形式に基づいた症例提示により、質疑応答を通して医学を横断的に理解する能力を習得することを目的とします。 
また、臨床検査部、臨床生理機能検査部ならびに輸血部と連携し全員参加型のグループ演習を行い、医師に必要な検査手技の基本を習得するとともに、医師以外のメディカルスタッフと接することによりチーム医療の一員としての自覚を芽生えさせることを学修目標とします。

検査医学演習(臨床編)
(対象学年 4年、授業期間 秋学期 ユニット時限数 8、分類 演習)
臨床実習を目前に控え、検査から臨床へ繋がる実際的能動的アプローチの仕方とその能力を習得することを目的とし、チーム医療の一員であることを学ぶとともに、臨床検査計画立案と実行に関するSBOを各検査部門にわたって経験し研修します。臨床検査に関する基礎知識を学ぶことにより医学を横断的に理解することが学修目標です。

大学院

医科学専攻修士課程
共通選択 臨床検査医学特論(2単位)
専攻科目 代謝機能制御系 臨床検査医学(演習4単位、実習12単位)

医学専攻博士課程
共通必修 実験医学入門コース(1単位)(分担)
共通選択 病態機構コース(2単位)(分担)
専攻科目 代謝機能制御系 臨床検査医学 臨床検査医学特論Ⅰ・Ⅱ(4単位)、演習(12単位)、実習(4単位)
専攻科目 代謝機能制御系 臨床検査医学(non MD course)臨床検査医学特論Ⅰ・Ⅱ(4単位)、演習(12単位)、実習(4単位)

診療の概要

盛田は医療センター大森病院臨床検査部部長として、診療に関与しています。臨床検査部では生化学検査、血算、凝固・線溶系検査、免疫検査、尿一般検査、微生物検査などの検体検査を、365日24時間対応の検査体制で正確且つ速やかに報告しており、2016年度には、6,407,945件の検査を実施しました。
外来受診に際しては診療前検査を実施し、病院内電子カルテシステムに連動した検査部コンピューターシステムの運用により、診察時には必要な検査結果が揃っているように迅速報告を行っています。
先進医療実践への支援として積極的に最新の検査方法(項目)の導入を図ると共に、日々の測定精度の維持・管理に努め、正確性保証のため年2回(日本医師会・日本臨床衛生検査技師会主催)の外部精度管理調査に参加しています。
臨床検査部は、「日本臨床検査医学会 認定研修施設」に指定されているとともに、一層の検査制度と技術力の保障によってさらに質の高い臨床検査サービスを患者と診療各科に提供する為に、2017年3月16日付で国際標準化機構によるISO 15189「臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項」の認定を取得しています。

その他

社会貢献

「多摩川検査研究会」の開催
最新の臨床検査の動向に基づく臨床検査技師の学術技能の研鑽を行うとともに、日常遭遇する異常検査データの解釈、原因追及方法の習得等を実践する機会を提供することで地域医療に貢献することを目的として、大田区、川崎市川崎区を中心として臨床検査に従事する方々を対象とした臨床検査研究会を年4回開催しています。

「検査と健康展」への参加
国民の皆様に生活習慣病やガンの早期発見のために定期的な健康診断の重要性を啓発するとともに、臨床検査についての理解を深めていただくことを目的として、毎年開催されている「検査と健康展」に参加しています。

「コラム」の掲載
臨床検査技師が交代で大森病院臨床検査部のホームページに検査にまつわるいろいろな話題を一般向けにわかりやすく解説し掲載しています。

学会活動

学会発表
2016年度には、日本臨床検査医学会で3演題、日本臨床検査自動化学会で5演題、日本動脈硬化学会で1演題発表しました。

評議員等(盛田俊介)
日本臨床検査医学会、日本臨床検査自動化学会、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本抗加齢学会の評議員として活動しています。

指導医・専門医等(盛田俊介)
日本内科学会(総合内科専門医)、日本臨床検査医学会(専門医・管理医)、日本高血圧学会(専門医・指導医)、日本動脈硬化学会(専門医・指導医)、日本抗加齢学会(専門医)、日本循環器学会(専門医)ならびに臨床修練指導医として活動しています。
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151