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皮膚科学講座(佐倉)

所属教員名

樋口 哲也  / 教 授
三津山 信治 / 講 師
安部 文人  / 助 教

運営責任者

講座の概要

1991年の佐倉病院の開院に伴い、田辺恵美子診療部長と1名の常勤医で皮膚科診療を開始しました。2005年に吉田正己教授が大森病院から赴任後、大森病院や他大学からの転任、新入医局員の入局により教室の体制が強化され、地域の中心的な皮膚科医療機関として発展してきました。2013年から樋口が診療部長に着任し現在に至っています。高度な皮膚科医療、皮膚科研究が出来る教室を目標とし教室員一丸となって努力しています。2016年には日本皮膚科学会認定の主研修施設の承認を受け、新専門医制度にも対応する充実した皮膚科研修が出来る施設としても、更に教室を成長させていきたいと考えています。

研究の概要

現在の教室の研究のメインテーマは皮膚免疫・アレルギーであり、自己免疫・アレルギー性皮膚疾患の発症・増悪機序の解析を、佐倉病院内共同実験施設での実験や東邦大学薬学部等との共同研究で行っています。

  1. 皮下脂肪由来のアディポカインによる乾癬増悪メカニズムの解析
    炎症性角化症である乾癬患者血清中ではアディポカインであるTNFαやLeptinが増加、Adiponectinが低下し、肥満の程度や乾癬スコアとも相関していることが報告されていました。そこで肥満やメタボリックシンドロームの状態で皮下脂肪が乾癬の増悪にどのように影響するかを解析するために、乾癬患者における皮下脂肪からのアディポカイン産生、血中アディポカイン濃度を測定しました。これらのアディポカインのうち、Leptinのみが優位に肥満患者やメタボリックシンドローム患者において皮下脂肪からのmRNA発現が亢進し、血中濃度や乾癬スコアと相関していることが分かりました。現在、この臨床知見を更に進めるためにin vitroの培養系で、Leptinによる単球やMacrophageなどの炎症細胞の活性化経路を解析し、研究を進めています。
  2. 薬疹・薬剤アレルギーにおける原因薬剤診断法の確立
    薬疹は薬剤投与によりTリンパ球が感作され、薬剤再投与により感作を受けた薬剤特異的なリンパ球が活性化し皮膚症状として発症します。臨床的には、治療継続の目的のために原因薬剤の早期で確実な診断が必要となりますが、現在の検査法であるDLSTやパッチテストでは、検査に時間がかかることや検出率が低いことが課題となっています。そこで、薬疹患者における薬剤抗原特異的なリンパ球の早期の検出を目的として、被疑薬を抗原としてリンパ球の早期活性化マーカーであるCD40リガンドの発現を解析したところ、培養開始24時間で薬剤特異的な発現上昇を薬疹患者で検出することが出来ました。現在、更に簡便で精度の高い検査法の解析として、新規発症薬疹患者を対象に、DLSTに抗原特異的なサイトカイン産生の測定や、培養細胞での代謝後の被疑薬を抗原とした刺激経路の解析などを追加し、原因薬剤診断の精度向上を目指して薬学部と共同研究を行っています。
  3. 膠原病皮膚病変の発症機序の解析
    以前の研究で、リンパ球の早期活性化マーカーであるCD40リガンドはB細胞のアポトーシスを阻害するため、異所性にB細胞にCD40リガンドを発現させたトランスジェニックマウスではB細胞の末梢自己トレランスが破綻するため、抗核抗体の産生や自己免疫性腎炎などSLE様の病態を呈することを明らかにしました。このトランスジェニックマウスと、すべてのB細胞がDNAと高い親和性のVH鎖を持つトランスジェニックマウス(56Rをマウス)を交配させたマウスからクローニングされたVk38CというVL鎖は、細胞核内のSm/RNP抗原に強い親和性を示しました。さらに、すべてのVL鎖がVk38cであるトランスジェニックマウス(Vk38Cマウス)を作成したところ、このマウスの一部で皮膚に炎症を来たし、脱毛がおこることが確認されました。このマウスを用いて、核内自己抗原に対する抗体がどのように皮膚症状を発症するかを解析することで、抗DNA抗体や抗SS-A/B抗体との関連のある膠原病の皮膚病変の発症機序の解明につながると考えられ、現在学外で飼育しているVk38cマウスの免疫病理組織学的解析等を行っています。

代表論文

  1. Higuchi T, Satoh T, Yokozeki H. Prurigo in dermatomyositis. Dermatology 2008;217:378-379
  2. Kawahara A, Yoshida M. Detection of viral DNA in nonlesional skin of patients with molluscum contagiosum and on environmental formites. Br J Dermatology 2009;160:1357-1359
  3. Kishi Y, Aiba Y, Higuchi T, Furukawa K, Tokuhisa T, Takemori T, Tsubata T. Augmented antibody response with premature germinal center regression in CD40L transgenic mice. J Immunol 2010;185:211-219
  4. Kimura M, Higuchi T, Yoshida M. Infantile acropustulosis is treated successfully with topical maxacalcitol. Acta Derm Venereol 2011;91:363-364
  5. Kishi Y, Higuchi T, Phoon S, Sakamaki Y, Kamiya K, Riemekasten G, Akiyoshi K, Weigert MG, Tsubata T. Apoptotic marginal zone deletion of anti-Sm/ribonucleoprotein B cells. Proc Natl Acad Sci USA 2012;109:7811-7816
  6. Yoshida M, Higuchi T. Herpes zoster ophthalmicus with ipsilateral parotitis. Int J Dermatol 2013;52:769-770
  7. Shen L, Higuchi T, Tubbe I, Voltz M, Krummen M, Pektor S, Montermann E, Rausch K, Schmidt M, Schild H, Grabbe S, Bros M. A Trifunctional Dextran-Based Nanovaccine Targets and Activates Murine Dendritic Cells, and Induces Potent Cellular and Humoral Immune Responses In Vivo. PLoS One 2013;8:e80904
  8. Higuchi T, Satoh T, Yokozeki H. Using CD40 Ligand Expression to Detect Antigen-specific T Cells in Patients with Drug Eruptions. Acta Derm Venereol 2014;94:86-87
  9. Mitsuyama S, Higuchi T, Abe F, Kimura M, Yoshida M, Ishiko A. Subcutaneous adipose tissue adipokines are associated with the metabolic syndrome in -D64psoriasis patients. Toho Journal of Medicine 2015;1:7-13
  10. Mitsuyama S, Abe F, Kimura M, Yoshida M, Higuchi T. Association between leptin gene expression in subcutaneous adipose tissue and circulating leptin levels in obese patients with psoriasis. Arch Dermatol Res 2015;307:539-544

教育の概要

学部

皮膚科学講義(対象学年 3年、遺伝性角化症・炎症性角化症、母斑・母斑症、2限)
臨床医学チュートリアル(対象学年 3年、膠原病、2単位)
5年次臨床実習(病院別): 皮膚科(佐倉)
6年次選択制臨床実習(ECC): 皮膚科(佐倉)

大学院

皮膚科臨床医学教育と同時に、教室員の社会人大学院入学を推奨しています。どのように皮膚疾患が発症・増悪するのかという目で見える現象の研究を遂行し、学位取得を目指します。最近では一名が博士号学位を取得し、現在も一名が社会人大学院生として臨床・研究を行っています。

診療の概要

【診療体制】皮膚科専門医3名を含めた常勤8名体制
【外来】4診察室+処置室で、紹介患者を中心に皮膚科疾患全般の診療を行っています。
【入院】定数7床で皮膚アレルギー性疾患、急性期感染症、皮膚腫瘍手術、難治性潰瘍等の入院を広く受け入れています。
【アレルギー・膠原病】日本アレルギー学会認定教育施設の承認を受け、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹、薬疹などのアレルギー性皮膚疾患について、採血およびパッチテストや内服テスト(入院)などの検査を組み合わせて、原因や増悪因子の同定を行うとともに、症状に応じた適切な治療を選択して行っています。エリテマトーデスや、皮膚筋炎、シェーグレン症候群などの膠原病の皮膚症状、自己免疫性水疱症の診断・治療を行っています。
【尋常性乾癬】重症の乾癬に対して、全身型NB-UVB療法や、抗TNFα抗体・抗IL-12/23p40抗体、抗IL-17A抗体などの生物学的製剤治療を行っています。肥満・高脂血症や糖尿病などのメタボリック症候群の併存について検索し、当院内科と連携して治療しています。新たにターゲット型エキシマランプを導入し、乾癬の局所難治性病変や掌蹠膿疱症などに対してより効果的な光線療療を開始しました。
【皮膚腫瘍】ダーモスコープや病理組織検査を用いた早期診断・治療が目標です。臨床統計研究により、ダーモスコープを用いての臨床診断と病理診断の一致率が大きく向上しました。

その他

社会貢献

市民公開講座(佐倉病院、日本アレルギー協会千葉東地区、鎌ヶ谷市シルバー大学院)
印旛市郡医療薬学勉強会(薬剤師会)

学会活動

お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151