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外科学講座心臓血管外科学分野(大森)

所属教員名

渡邉 善則 / 教 授
塩野 則次 / 准教授
藤井 毅郎 / 准教授
小澤 司  / 准教授
益原 大志 / 講 師
片柳 智之 / 助 教
片山 雄三 / 助 教
大熊 新之介/ 助 教

運営責任者

講座の概要

私ども外科学講座心臓血管外科学分野は、循環器内科とシームレスな関係で、あらゆる循環器疾患に対して、最新・最良・最適な治療をタイムリーに行えるよう日夜努力をしています。われわれが最も大切にしている事は、一人一人の患者さんに対して、EBMに捕らわれる事なくテーラーメードの医療を提供することであり、そのため循環器センターのみならず、救命救急センターやあらゆる診療科と密に連携をとることは勿論ですが、地域の先生方との連携を最も大切に考えている。
診療科の最大の特色は、特定の分野に特化せず循環器系全ての外科治療を行なっていることであり、私たちは年間150例前後の先天性・後天性の心臓大血管手術を行っている。狭心症や心筋梗塞に対する外科手術としての冠動脈バイパス手術での予定手術死亡率は0.39%、緊急手術を含めても1.56%と極めて良好な成績である。1997年より人工心肺を使用しない冠動脈バイパス手術を導入し、今日では予定単独冠動脈バイパス手術のほぼ全例に、オフポンプバイパス手術が可能となり、小児に対する心臓手術は、肉体的・精神的負担を最小限に留めるため小切開で手術を行い、輸血を行わない無輸血手術を心がけている。大動脈瘤の手術にはステントグラフトを用いた手術が中心となりつつあり、閉塞性動脈硬化症(血管拡張術、ステント挿入等)、静脈瘤(ストリッピング、硬化療法)、動静脈の血栓症を含めた外科治療を合わせると年間200例以上の手術を行ない、良好な手術成績をあげている。

研究の概要

基礎研究

平成21年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の補助金を得て、先進医療技術開発センタ-の感染症・免疫難病の先進医療技術開発プロジェクトとして、人工素材を用いた心臓血管手術における感染免疫応答の研究を行っている。現在は術前術後のヘルパ-T細胞分画の推移と術後感染症の発病との関連を調査し、免疫応答の個体差と術後感染症の関連性を研究している。平成24年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金):基盤研究(C)人工血管感染機序に関する研究を得て、人工血管感染機序の解明と感染抵抗性人工血管の開発に関する研究を、本学微生物・感染症学講座と連携して行っている。
平成24年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金):基盤研究(C)動脈硬化病変進行・大動脈瘤増大のメカニズムと歯周囲疾患の関与を得て、本学口腔外科学と連携し研究している。

臨床研究

  1. 虚血性心疾患に対する外科治療
    臨床研究として手術の低侵襲化の研究を行っており、1997年より人工心肺を用いず心拍動下で行うMIDCABを導入、1999年よりOPCAB(オフポンプCABG)による多枝冠動脈バイパスを導入し、技術的な研究と症例の蓄積が進み、重篤な基礎疾患を有する症例や80歳以上の高齢者にも施行可能となった。現在、高齢者における手術リスクを定量化する研究を行っている。虚血性心筋症や左心室瘤に対しては、MRIや心筋シンチグラフィ-等の先進的検査による虚血心筋の正確な評価を行い、冠動脈バイパス手術、左室縮小手術、僧帽弁形成手術を適切に組み合わせ良好な成績を得ており、遠隔予後に寄与する左室縮小範囲の検討、複合手術の意義を研究している。また、血行再建の困難な心筋に対して、血管新生療法の臨床導入に向け準備を整えている。
  2. 大動脈疾患
    大動脈解離や大動脈瘤に対しては、可能な限り循環停止を回避した低体温・持続灌流による人工心肺を行い、良好な手術成績を収めている。また、より低侵襲なステントグラフト内挿術(Endovascular surgery)を導入し、疾患によってはバイパス術併用hybrid手術も行っている。
  3. 弁膜症
    経食道超音波検査を積極的に用い、弁の状態を正確に評価し適切な弁膜症手術を行っている。大動脈弁に対しては、人工弁、生体弁、ステントレス生体弁を症例に合わせ適応し、僧帽弁に対しては、可能な限り弁形成手術を適応し、人工弁置換の場合においても自己弁組織を一部残し、左室形態の温存を試みている。臨床研究として、各種生体弁の生体内血行動態および左室心筋重量等による長期遠隔成績を研究している。
  4. 先天性心疾患(小児および成人)
    先天性心疾患に対しては、胸部小切開法、無輸血手術、人工心肺容量削減などの低侵襲心臓手術 (MICS)を積極的に行い、抗炎症戦略に関する研究や、脈波伝搬時間(Pulse Wave Transit Time:PWTT)による周術期循環動態評価の研究を行っている。
  5. 末消血管
    末梢動脈疾患に対しては、血管内治療とopen surgeryの成績とを比較し、長期遠隔成績を見据えた治療法確立の研究を行っている。静脈疾患については、open surgeryとLaser治療の至適病態生理を解明し、最適な治療法の確立を目指した研究している。

代表論文

  1. Katayama Y, Ozawa T, Iga A, Hisatake S, Watanabe Y:Sugical Repair of Aorta-Right Atrial Tunnel in an Adult. Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society 79(4):892-893, 2015
  2. Fujii T, Kawasaki M, Katayanagi T, Okuma S, Masuhara H, Shiono N, Watanabe Y:A case of an aortic around the elephants trunk. Ann Thorac Cardiovasc Surg 21:570-573, 2015
  3. Katayanagi T,:Nasal Methicillin-Resistant S.Aureus is a Major Risk for Mediastinitis in Pediatric Cardiac Surgery. Ann Thorac Cardiovasc Surg 2015(21):37-44, 2015
  4. Okuma S, Fujii T, Sasaki Y, Katayanagi T, Shiono N, Hara M, Watanabe Y:Endovascular Abdominal Aortic Aneurysm Repair in patients with Renal Transplants : Reports of two cases. Ann Thorac Cardiovasc Surg:809-812, 2014
  5. Shiono N, Fujii T, Kawasaki M, Ookuma S, Sasaki Y, Katayanagi T, Masuhara H, Tokuhiro K, Ozawa T, Horie A, Sekiya H, Watanabe Y:Frequency of detection of oral pathogenic bacteria in patients undergoing surgery for infectious endocarditis is blood exposed to oral bacteria on a daily basis?. J Clin Exp Cardiology(an open access jounal) :4-7, 2013
  6. Masuhara H, Fujii T, Watanabe Y, Koyama N, Tokuhiro K:Antibiotics and Drainage for Treating Stent-Graft Infection after EVAR. Ann Vasc Dis (4):462-465, 2012
  7. Ozawa T, Fujii T, Shiono N, Hamada S, Masuhara H, Hara M, Sasaki Y, Katayanagi T, Yoshihara K, Okano Y, Takatsuki S, Saji T:Fontan Conversion with Novel direct ablation after childbirth. report of a case. Surg Today 41:1684-1688, 2011
  8. Masuhara H, Watanabe Y, Fujii T, Shiono N, Hamada S, Hara M, Teramoto C,Yoshihara K, Koyama N :Successful surgical repair of an infectious thoracic aortic pseudoaneurysm accompanied by aortobronchopulmonary fistula and advanced hepatic dysfunction without assisted circulation. Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery 16(1):35-39, 2010
  9. Fujii T, Ozawa T, Hamada S, Masuhara H, Teramoto C, Hara M, Katayanagi T, Sasaki Y, Koyama N, Watanabe Y:Stent graft implantation combined with coil embolization and external-internal iliac artery bypass surgery. Surgery Today 40:1079-1083, 2010
  10. Watanabe Y, Fujii T, Hara M, Sasaki Y, Katayanagi T, Shiono N, Koyama N:Redo CABG for ACS via the Left Thoracotomy Using the PAS-Port System to the Descending Thoracic Aorta. Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery 16:367-369, 2010

教育の概要

学部

  1. 臨床医学各論Ⅰ循環器系ユニット(3年次Ⅰ期8コマ)
    当科は総論では、外科手術総論を担当している。各論では、虚血性心疾患Ⅶ(治療:外科手術)先天性心疾患Ⅴ(治療:外科手術)動脈疾患ⅠⅡⅢ(病態・動脈硬化)を担当している。
  2. 臨床実習(5年次)
    将来医師としてふさわしい態度で患者に接し、正しい方法によって病歴を聴取し、系統的な診察を行うことができる基本的な知識、技能、態度を身につけるべく臨床実習を通して指導している。1年間を通して全科で39週間のうち25週前後を担当指導している
  3. 選択制臨床実習(6年次)
    心臓血管外科の選択実習を希望する6年生に対して1〜2週間の医師と行動を共にし、心臓血管手術および術前診断、術後管理など指導している。

大学院

循環器疾患の薬物治療や内科的治療技術の急速な発展と共に、心臓血管外科領域においても医療技術の進歩は著しい。黎明期には治療が困難であった疾患も、今日良好な手術成績や遠隔成績が得られるようになった。心臓血管 外科学は、人工心肺技術や低体温・心筋保護法の研究を基礎に発展し、虚血性心疾患、弁膜症、大動脈・末梢血 管疾患そして先天性心疾患の全ての分野の研究が急速に進み、パラダイムシフトが生じたと言っても過言ではない。 本専攻分野では、心臓血管外科に関する基礎的専門知識を習得し、医学的に解明されていないテーマについて基礎 研究あるいは臨床研究を行い、医学の発展に寄与する人材を育成する事を目標としている。同時に、日本外科学会 外科専門医を習得し、将来の心臓血管外科専門医の習得を目指す。患者情報を把握して収集し、解析して臨床研究を行う能力を獲得する。さらに、こうした臨床研究の一 部として、多面的な手法による基礎実験を加えて、心臓血管外科領域の先進的医療技術や解明されていない治療技術について、開発あるいは解明する能力を獲得する。心臓・血管外科学演習では、研究結果を討論し、研究テーマに基づいて次に行うべき検討課題を明らかにする。また、心臓・血管外科学演習に関連する最新の英文論文を読み、内容を理解し紹介するとともに、問題点 について討論する。さらに、実際の心臓・血管外科患者を対象として、診断・治療について世界の文献を参照しつつ 実際の症例の診断・治療内容を検討する。また、自らの研究テーマに関する発表を行い、講座内で批判的に討議されることによりさらに発展させる。これらを通じて、指導的医療人としての医療技術を習得するとともに自ら研究テーマ を見出して解決する能力の獲得を目指す。

診療の概要

東邦大学医療センター大森病院 心臓血管外科は、「循環器センター」というひとつのチームとして循環器内科との緊密な連携のもと、診療を行っている。
また、心臓や血管の病気を抱える患者さんには、糖尿病や慢性呼吸器疾患、腎不全など別の病気を合併しているケースも多く、このような場合にも関連する診療科と連携し、速やかに対応している。
急性心筋梗塞、急性心不全、解離性大動脈瘤など、心臓や血管の病気には生死にかかわるような緊急性の高いケースも数多くあり365日24時間いつでも対応できるよう、「救命救急センター」と協力して診療体制を整えており2010年11月より「東京都急性大動脈スーパーネットワーク」が設立され、当院は都内で12施設のみの「緊急大動脈重点病院」に指定されています。同ネットワークより救急搬送された急性の大動脈疾患の患者さんの緊急治療は、当院の「大動脈センター」と連携して行っている。
一般的に従来の医療では、心臓や血管の手術は高齢になるほどリスクが高くなるとされてきましたが、近年の医療技術の進歩によって70歳代、80歳代の方でも安全に手術を受けられるケースが増えてきている。治療をするのが早ければ早いほど、その先の人生もより安心して快適に過ごせるようになると考える。
ただ病気だけを治すのではなく、患者さんの将来まで見据え、術後のリスクなどを最小限に抑える治療に努めて治療を終えた患者さん一人ひとりがQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を長い期間にわたって維持できるよう、治療方法などもあらかじめ十分に考慮したうえで実施している。
東京都の「総合周産期母子医療センター」に指定されている当院では、さまざまなリスクを抱える母体や新生児の診療も数多く手がけています。
その中で当科では、先天性心疾患を抱える新生児および小児の外科手術を、「小児医療センター」「新生児科・総合周産期母子医療センター」との連携のもと行っている。小さなお子さんの心臓手術において最も大切にしていることは〝こどものからだにやさしい低侵襲心臓手術″であり手術の創(きず)を小さくし、出血量や身体への負担をできる限り少なくするよう一同努めている。
また、「新生児科・総合周産期母子医療センター」との連携により、胎児期に先天性心疾患の診断がついた場合には、分娩後に速やかに手術を行えるよう事前に治療計画を立てることも可能となっている。

その他

社会貢献

  1. これまでの実績
    外科学講座心臓血管外科学分野では循環器内科と合同で大森医師会 蒲田医師会 田園調布医師会の協力のもと 地域学術集会「心臓の会」を年2回企画して地域医療に貢献しております。2015年10月24日に第23回日本血管外科学会関東甲信越地方会を大田区蒲田の大田区民ホールアプリコで開催し、その際大田区との共催で市民公開講座「あなたの動脈硬化、大丈夫ですか?」開催しました。
  2. 今後の予定
    2017年10月7日は、大田区との共催で「高齢者の疾患 予防と治療」区民公開講座を企画しています。
    2017年12月3日は、大田区との共催で「健脚シンポジウム」区民公開講座を企画しています。

学会活動

  • 2015年10月24日(土)「第23回日本血管外科学会関東甲信越地方会」開催
  • 2017年2月25日(土)「第5回 大動脈解離シンポジウム in 横浜」開催
  • 2018年6月「日本胸部外科学科第177回関東甲信越地方会」開催予定
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151