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麻酔科学講座(佐倉)

所属教員名

北村 享之 / 教 授
甲田 賢一郎/ 講 師
菅野 敬之 / 助 教
佐藤 可奈子/ 助 教
鵜澤 將  / 助 教
浜田 翠  / 助 教
木村 悠香 / 助 教

運営責任者

講座の概要

麻酔科学講座(佐倉)は、1991年の東邦大学医療センター佐倉病院開院時に佐倉病院麻酔科学研究室として開講されました。開講以後、初代教授阿部京子、2代教授笠間晁彦、3代教授田上恵が講座を主宰してきました。2014年4月に4代教授として北村享之が就任し、現在に至っております。周術期生体管理の適正化を講座のテーマとして掲げ、教室員が一丸となって臨床・研究・教育に日々努力しています。

研究の概要

  • 周術期生体管理の適正化
    近年の麻酔科学領域におけるトピックスの一つとして、周術期生体管理の質と手術予後の関係が挙げられます。麻酔科医が関与する術前・術中・術後にわたる生体管理の質を向上させることで手術関連合併症の予防と術後回復促進を図ることが可能であり、その結果として手術予後が改善できると考えられています。手術麻酔管理の内容としては、鎮痛・鎮静・不動化・有害神経反射の防止がイメージされやすい内容です。確かにこれらの事項は非常に重要な項目ではありますが、麻酔科医が周術期に担う診療行為はこれらだけではありません。予定された外傷と称される手術医療に起因する侵襲は、神経・内分泌・代謝・免疫などのすべての生理システムに複雑な修飾を加え、様々な生体反応を惹起します。手術を受ける患者さんに生じうる有害生体反応に適切な対応を実施しなければ、安全な手術医療の提供はできません。当講座では、周術期生体管理の適正化をテーマとして様々な研究に取り組んでいます。
  • 周術期糖代謝管理の適正化
    生命維持のためにはエネルギー需給バランスの維持が不可欠であり、周術期生体管理におけるその重要性は自明です。生体はエネルギー基質として糖質・タンパク質・脂質を利用できますが、糖質の生体内利用効率が最も高いことから、周術期の糖代謝を理解することが重要です。当講座では、東京大学と共同で周術期糖代謝管理に関する基礎研究を行い、各種全身麻酔薬が糖代謝に及ぼす影響や全身麻酔下手術中におけるブドウ糖投与の是非などに焦点をあてた研究で多くの成果をあげてきました。今後も東京大学との共同研究を継続しながら、東邦大学医療センター佐倉病院における臨床研究を展開するために準備を進めています。具体的には、前述した基礎研究によって得られた知見を臨床研究で検証することや、大侵襲手術の術中・術後に人工膵臓を用いた厳密な血糖値管理を行うことの有用性の検討などを計画しています。
  • 麻酔深度の適正化
    全身麻酔管理においては最適な麻酔深度を維持し、麻酔薬の過投与ならびに浅麻酔に伴う術中覚醒を防ぐことが重要です。現時点では、脳波計を用いた鎮静度の評価で麻酔深度を調整することが一般的ですが、この方法では術中覚醒を完全に防ぐことができません。近年、薬力学/薬物動態学的手法で全身麻酔薬の標的組織濃度を予測し、麻酔深度を調節する機器が臨床使用できるようになりました。そこで、当講座では、従来の脳波を利用した麻酔深度モニターと、薬力学/薬物動態学的手法による麻酔深度モニターを比較検討し、よりよい麻酔深度調節方法を確立するべく研究を進めています。
  • その他
    上記以外の研究テーマとして、周術期免疫管理の適正化および術中末梢循環の適正化などを計画し、準備を進めています。免疫関連では、炎症性腸疾患患者の周術期免疫管理の適正化を目標として、潰瘍性大腸炎患者やクローン病患者が全身麻酔下手術を受ける場合に、原疾患の増悪を予防するための最適な全身麻酔管理レジメンを確立することに挑戦したいと考えています。循環関連では、非侵襲的モニターを用いて末梢循環の評価を行い、脊髄くも膜下麻酔で管理する手術症例を対象とした循環管理の最適化を目指す研究を計画しています。

代表論文

  1. Mori Y, Kitamura T, Kawamura G, Sato K, Sato R, Araki Y, Yamada Y. Effects of preoperative and intraoperative glucose administration on glucose use and fat catabolism during laparotomy under sevoflurane anesthesia in fasted rats. J Physiol Sci 2015;65:523-530
  2. Kariya T, Ito N, Kitamura T, Yamada Y. Recovery from extreme hemodilution (hemoglobin level of 0.6 g/dL) in cadaveric liver transplantation. A A Case Rep 2015;4:132-136
  3. Kawamura G, Inoue R, Araki Y, Mori Y, Sato K, Yamada Y, Kitamura T. The effects of preoperatively administered carbamazepine and phenytoin on rocuronium-induced neuromuscular block under sevoflurane anesthesia: a retrospective clinical study. Masui (Jpn J Anesthesiol) 2014;63:877-880
  4. Li X, Kitamura T, Kawamura G, Mori Y, Sato K, Araki Y, Sato R, Yamada Y. Comparison of mechanisms underlying changes in glucose utilization in fasted rats anesthetized with propofol or sevoflurane: Hyperinsulinemia is exaggerated by propofol with concomitant insulin resistance induced by an acute lipid load. Biosci Trends 2014;8:155-162
  5. Aldi S, Takano KI, Tomita K, Koda K, Chan NY, Marino A, Salazar-Rodriguez M, Thurmond RL, Levi R. Histamine H4-Receptors Inhibit Mast Cell Renin Release in Ischemia/Reperfusion via PKC epsilon-Dependent Aldehyde Dehydrogenase Type-2 Activation. J Pharmacol Exp Ther 2014;349:508-517
  6. Kawamura G, Kitamura T, Sato K, Sato R, Mori Y, Araki Y, Yamada Y. Glucose administration during volume resuscitation using dextran-40 from hemorrhagic shock ameliorates acid/base-imbalance in fasted rats under sevoflurane anesthesia. Biosci Trends 2013;7:138-143
  7. Kawamura G, Kitamura T, Ohno N, Tashiro Y, Asahara M, Sato K, YamadaY. Impact of preoperative anticonvulsant therapy on vecuronium-induced neuromuscular block under sevoflurane anesthesia: a retrospective clinical study. Masui (Jpn J Anesthesiol) 2013;62:935-938
  8. Sato K, Kitamura T, Kawamura G, Mori Y, Sato R, Araki Y, Yamada Y. Glucose use in fasted rats under sevoflurane anesthesia and propofol anesthesia. Anesth Analg 2013;117:627-633
  9. Koda K, Salazar-Rodriguez M, Corti F, Chan Y-K, Estephan R, Silver RB, Mochly-Rosen D, Levi R. Aldehyde dehydrogenase activation prevents reperfusion arrhythmias by inhibiting local renin release from cardiac mast cells. Circulation 2012;122:771-781
  10. Robador PA, Seyedi N, Chan NY, Koda K, Levi R. Aldehyde Dehydrogenase Type 2 Activation by Adenosine and Histamine Inhibits Ischemic Norepinephrine Release in Cardiac Sympathetic Neurons: Mediation by Protein Kinase C Epsilon. J Pharmacol Exp Ther 2012;343:97-105

教育の概要

学部

  • 臨床統合講義─Ⅱ 麻酔(対象学年 4年)
    ①麻酔管理と短期的・長期的予後
    ②周術期代謝管理
    ③慢性疼痛に対するアプローチ
  • 臨床実習(対象学年 5年および6年)
    ≪講義≫麻酔科学の領域は周術期医療・集中治療・疼痛管理の3分野にわたりますが、その中で周術期医療と疼痛管理に関する講義の一部を当講座で担当しています。周術期医療の分野では、手術患者に対して麻酔科医が行う生体管理の質を向上させることで手術予後が改善することに関して理解を深めること主題としています。疼痛管理の分野では慢性疼痛の診断・治療に焦点をあてて講義を行っています。 ≪臨床実習≫5年生の臨床実習は、東邦大学医療センター佐倉病院における外科臨床実習の一部として手術麻酔管理に関する実習を行っています。臨床の現場で手術麻酔管理を体感することで、臨床実習開始までに講義で学んだ内容の理解が深まるように指導しています。選択実習となる6年生は、完全な形ではないものの参加型臨床実習を意識し、学生が手術麻酔管理チームの一員として積極的に医療に参加できるように実習指導を行っています。

大学院

医学専攻博士課程
  • 専攻科目 高次機能制御系 麻酔科学特論Ⅰ
    ①術後鎮痛と術後回復強化プログラム
    ②周術期糖代謝管理
    ③集中治療とペインクリニック
  • 専攻科目 高次機能制御系 麻酔科学特論Ⅱ
    ①早期離床・退院と周術期管理
    ②麻酔科学における研究計画法
    ③急性疼痛管理
    ④慢性疼痛管理
周術期生体管理ならびに疼痛管理に関する最新の知見を学び、周術期生体管理の適正化や疼痛管理の質の向上にむけて解決するべき問題点を明らかにしたうえで、研究テーマを立案し、研究が実践できる環境を整えられるようになることを目的としています。常に臨床医であることを意識し、臨床の現場に有意義なフィードバックが可能な研究の実践を行うことを第一義に考えています。

診療の概要

東邦大学医療センター佐倉病院麻酔科の診療体制は、8人の常勤医師、4人の非常勤医師、3人前後の前期研修医で構成されています。常勤医師は、8人中7人が麻酔科標榜医であり、3名が日本麻酔科学会認定麻酔指導医の資格を、2名が日本麻酔科学会認定麻酔専門医の資格を有しています。現在は手術麻酔管理に専念する形で診療にあたっています。2016年度の実績として、麻酔科管理症例は約3200症例です。局所麻酔手術(2016年度実績として約2400症例)においても、手術中に不測の事態が発生した場合には、麻酔科が生体管理に参画できるような体制を整えています。なお、2014年9月からペインクリニック外来は休診中ですが、入院患者の疼痛管理に関しては可能な限り対応しています。

その他

社会貢献

救急救命士が気管挿管を行う資格を得るためには、30例の気管挿管成功実績が必要です。この実習は登録された医療機関の手術室で麻酔科医の指導のもとで行われます。我々は2007年から救急救命士の挿管実習の受け入れを開始しました。これまでに多数の救急救命士が東邦大学医療センター佐倉病院での実習を終了しており、その後、救急の現場で活躍されていると聞いております。今後も、救急救命士の気管挿管実習を中心とした社会貢献が継続できるように努力します。本活動に関連して、2014年から印旛地域救急業務メディカルコントロール協議会に北村享之が委員として参加しています。

学会活動

お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151