医学部

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物理学

所属教員名

川口 高明 / 教 授
能川 知昭   / 講 師

運営責任者

研究室概要

現在,物性物理学及び統計物理学を主な専門領域とする,川口,能川の2名で研究室を運営しています。 研究活動では,物質の示す多様な物性,及び多様なシステムの非線形現象等について,その発現機構・素過程及び普遍性等を探究・解明しています。研究の方法として,コンピュータシミュレーションも重視しています。 教育活動では,物理学の基礎から基礎医学・医療に関する生体物理及び生体・医用工学に至るまで,基礎から応用にわたる領域を担当・分担しています。

研究の概要

研究テーマのいくつかは次のとおりです。

ナノスケールの物性探究
ナノスケールの物質表面・界面を利用したナノテクノロジー及びナノサイエンスへ貢献することを目的として,ナノ固体界面において現れる新奇な摩擦・潤滑現象を解明してきました。現在,物質表面・界面における新奇な物理現象の探究及び解明,ナノ計測に関する物理的素過程などの解明を行っています。

分子マシンの研究 
摩擦及び潤滑の研究と関連して,ナノ物質(分子)が機械的動作を行うナノマシンについての基礎研究を行っています。これまでに,ナノ固体表面上の原子集団に方向をもつ並進運動を発生させる機構と運動のダイナミクスを明らかにしました。現在,ナノスケールで駆動される分子マシンの原理・素過程,ナノ力学特性などの解明を行っています。

非線形・非平衡現象の研究
ある種の位相で特徴付けられる物質系において創発する現象として,新奇な非線形・非平衡ダイナミクスに着目し,物性と関連した重要かつ未解明の諸問題を解明します。現在,位相で記述される系の非線形運動の発現機構等の解明,様々なシステムに現れる非線形・非平衡現象の普遍性などの解明を行っています。

スモールワールドネットワーク上の確率過程におけるロバストな臨界性
航空網の発達した今日では感染症が急速に世界中に広がる危険性があります。狭くなった世界での都市や人のつながりはスモールワールドネットワークと呼ばれており、数学的には無限次元のグラフとして捉えられます。我々はこのようなネットワークの上でパーコレーション、Isingモデル、感染症モデルといった様々な確率的な数理モデルを考え、解析を行っています。これらのモデルは従来(3次元など)有限次元で研究されてきましたが、無限次元系ではそのふるまいが大きく異なることがわかってきました。特に「ロバストな臨界性」という性質に注目しており、これは脳神経回路にも存在していると言われています。

相互作用がフラストレートした系の非自明な秩序状態と遅いダイナミクス
多くの物質は低温で、規則正しい周期構造を持つ結晶という状態をとりますが、多種原子や高分子からなる物質では、結晶になりそこねてガラスとよばれる不規則な固体になってしまうことがあります。一般に温度が下がるとともに分子間の相互作用エネルギーが低くなりますが、ガラス化しやすい物質ではエネルギーを下げる変化が複雑になっています。これは、ある場所でエネルギーを下げる変化が、他の場所のエネルギーを下げる変化と相いれないようになっているせいで、相互作用がフラストレートしていると言います。我々は金属ガラスや磁場中での超伝導渦の理論モデルを通してフラストレーションがある系の非自明な秩序状態やそこへたどり着くまでの遅いダイナミクスを研究しています。

非平衡ダイナミクスにおける自由度縮約
温度や圧力を一定に保って長時間待ったときに得られる状態を平衡状態と呼びます。平衡状態に関する限り、マクロな物体の性質を特徴づけるために必要な情報は、エネルギーや体積など数少ない量で十分であり、数えきれないほどある分子の位置や速度をすべて知る必要はないことがわかっています。しかし平衡状態から離れたときには、このような指針は全くないといってよく、物理学にとっての大きな未解決問題になっています。我々は、氷が融けて水になるような、平衡状態に近づく途中の時間変化を説明するために必要な変数の数(自由度)がどれくらい小さくできるのかという問題を、単純な確率モデルの数値シミュレーションを用いて考察しています。

代表論文


  1. Kawaguchi T, Directed Motion and Novel Dynamics of Interfacial Systems, JPS Conference Proceedings, 1, 012059-1-4, 2014.
  2. Nogawa T and Hasegawa T, Transition-type change between an inverted Berezinskii-Kosterlitz-Thouless transition and an abrupt transition in the bond percolation on a random hierarchical small-world network, Phys. Rev. E 89, 042803, 1-5, 2014.
  3. Nogawa T, Ito N and Watanabe H, Usefulness of equal-probability assumption for out-of-equilibrium states: a master equation approach, Phys. Rev. E 86, 041133:1-8, 2012.
  4. Nogawa T, Hasegawa T and Nemoto K, Generalized scaling theory for critical phenomena including essential singularity and infinite dimensionality, Phys. Rev. Lett. 108, 255703:1-5, 2012.
  5. Nogawa T, Yoshino H and Kim B, Transition by Breaking of Analyticity in the Ground State of Josephson Junction Arrays as a Static Signature of the Vortex Jamming Transition, Phys. Rev. E 85, 051132:1-5, 2012.
  6. Kawaguchi T, Phase dynamics of a Josephson junction ladder driven by modulated currents, Physica C 471, 824-827, 2011
  7. Nogawa T and Hasegawa T, Monte-Carlo simulation study of the two-stage percolation transition in enhanced binary trees, Journal of Physics A:Mathematical and Theoretical 42, 145001:1-9, 2009.
  8. Kawaguchi T, Matsukawa H, Controlling sliding velocity by mode-locking at nanoscale solid surfaces with lubricants, Materials Science and Engineering A 423, 204-208, 2006
  9. Kawaguchi T, Depinning mechanism and driven dynamics of vortices in disordered Josephson junction arrays, Physica C 392-396, 364-368, 2003
  10. Kawaguchi T, Matsukawa H, Friction, order, and transverse pinning of a two-dimensional elastic lattice under periodic and impurity potentials, Physical Review B 61, R16366-R16369, 2000

教育の内容

学部

現在,次の講義等を担当・分担し,教育活動に取り組んでいます。

領域:医用理工学1
サブ領域:医用理工学1-1, ユニット:医科物理学Ⅰ(1年次)
サブ領域:医用理工学1-2, ユニット:医科物理学Ⅱ(1年次)
サブ領域:生体の機能1-1, ユニット:細胞生理(分担:1年次)
サブ領域:医用理工学1実習 (分担:1年次)

領域:医用理工学2
サブ領域:医用理工学2, ユニット:基礎放射線(分担:2年次)

選択科目
選択物理 (1-3年次)
選択環境科学Ⅱ(分担:1-2年次)
リメディアル物理 (1年次)
PBLテュートリアルI (分担:1年次)
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151