医学部

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社会医学講座医療政策・経営科学分野

所属教員名

運営責任者

講座概要

社会医学部門の教育のうちの主として対人サービスを担当している。研究については、公衆衛生学分野、医療政策・経営科学分野は密接に協同しながら活動を行っており、以下の領域に分類される。

研究の概要

診療ガイドラインの評価

諸外国で実施されている診療ガイドラインの質を担保する手法について調査し、AGREE日本語版の開発を行った。また、厚生労働省研究班、関連学会によって作成・公表されている診療ガイドラインの評価を行っている。

医療安全

医療機関の医療の質と安全を担保するための体制や活動およびその成果等を評価するための研究を行っている。全国の医療機関の医療従事者を対象とした調査により、日本の医療機関および医療職の医療安全文化の特徴を明らかにしたほか、数年に渡る全国の医療機関を対象とした調査により、医療安全管理体制の変遷や、その課題について明らかにした。

医療情報の標準化

IT技術の医療への導入による診療情報標準化の促進によって、医療の透明性・説明貢任・質が確保されることが期待されている。わが国でのIT技術の現状を明らかにし、医療の効率性、質との関連を明らかにした。

病院の管理データを用いた病院標準化指標に関する研究

通常の医療事故では、当該事例をもとに根本原因、再発防止策等を検討し、病院システムの改善を図るという手法が取られる。こうした活動に加え、医療の質を総体的に把握し、管理する活動も併せて重要である。病院の質を総体的に把握するための指標として、DPCデータ等の病院の管理データを用い、患者リスク因子を調整した病院標準化死亡比等の算出ロジックを開発した。

医師需給にかかわる研究

近年の医師不足の状況に関して実証的な研究を行った。特に、小児科、産科・婦人科の不足問題に焦点を当て、需要供給の両側面と地域偏在の観点から分析を行った。

疾病費用に関する研究

がんをはじめとする主要疾患の社会的負担に関して、疾病費用法を用いて部位別に計測し比較した。また、時系列での変化、将来予測も明らかにし、国際比較研究も行った。さらに介護を必要とする疾患に関しても、同様の推計を行った。

末期臓器不全のdisease control

末期臓器不全に対する臓器移植システム構築に関しては、医療政策、医療経済、医療倫理等公衆衛生学の種々の分野が関係する。臓器移植法の成立以降、脳死のあり方、意思表示カード等臓器提供方法についての検討、臓器提供施設の医療機能と整備状況等について研究を行い、研究成果は公衆衛生審議会検討材料として用いられるなどシステム構築に寄与した。

代表論文

  1. Onishi R, Hatakeyama Y, Hirata K, Matsumoto K, Seto K, Wu Y, Kitazawa T, Hasegawa T. Development and usability of a hospital standardized ADL ratio (HSAR) for elderly patients with cerebral infarction: a retrospective observational study using administrative claim data from 2012 to 2019 in Japan. BMC Geriatrics. 23, 235; 2023.
  2. Wu Y, Hua W, Zhu D, Onishi R, Yang Y, Hasegawa T. Cross-cultural adaptation and validation of the Chinese version of the revised Surveys on Patient Safety Culture™ (SOPS®) Hospital Survey 2.0". BMC Nursing. 21 369; 2022.
  3. Matsumoto K, Hatakeyama Y, Seto K, Onishi R, Hirata K, Wu Y, Hasegawa T. Cost of illness in a super-aged society - Comparison of breast, lung, and prostate cancer in Japan. BMC Geriatrics. 22, 964; 2022.
  4. Hayashi R, Hatakeyama Y, Onishi R, Seto K, Matsumoto K, Hasegawa T. Difference in prioritization of patient safety interventions between experts and patient safety managers in Japan. PLoS ONE. 18(3) e0280475; 2023.
  5. Hirata K, Matsumoto K, Hatakeyama Y, Onishi R, Seto K, Hasegawa T: Social burden of three major diseases in Japan: A time trend and future projections using the comprehensive cost of illness method. PLoS ONE. 18(1) e0280311; 2022.
  6. Onishi R, Hatakeyama Y, Seto K, Hirata K, Matsumoto K, Hasegawa T. Evaluating the Hospital Standardized Home-Transition Ratios for Cerebral Infarction in Japan: A Retrospective Observational Study from 2016 through 2020. Healthcare. 10(8) 1530-1530; 2022.
  7. 瀬戸加奈子, 藤田茂, 畠山洋輔, 大西遼, 林凌甫, 飯田修平, 永井庸次, 平尾智広, 松本邦愛, 長谷川友紀. 日本の急性期病院における病理・画像診断報告書の確認漏れを防ぐ仕組みの現状. 日本医療マネジメント学会雑誌. 23(1) 14-19; 2022.
  8. 藤田茂, 瀬戸加奈子, 畠山洋輔, 大西遼, 松本邦愛, 長谷川友紀. 事業所間の利用者・患者情報の交換・提供の不足や不備に起因する事故やヒヤリハットの様態. 日本医療マネジメント学会雑誌. 22(4) 177-182; 2022.
  9. Onishi R, Hatakeyama Y, Matsumoto K, Seto K, Hirata K, Wu Y, Hasegawa T: Hospital-level characteristics of the standardised mortality ratio for ischemic heart disease: a retrospective observational study using Japanese administrative claim data from 2012 to 2019. PeerJ. 2022; 10: e13424, DOI 10.7717/peerj.13424.
  10. Hatakeyama Y, Seto K, Hirata K, Onishi R, Matsumoto K, Hasegawa T: Trends in the development process of clinical practice guidelines: a questionnaire survey for the guideline development groups in Japan. BMC Health Service Research. 2022; 22(94): 1-9, DOI 10.1186/s12913-022-07492-7.
  11. 瀬戸加奈子, 藤田茂, 畠山洋輔, 大西遼, 林凌甫, 飯田修平, 永井庸次, 平尾智広, 松本邦愛, 長谷川友紀:日本の急性期病院における病理・画像診断報告書の確認漏れを防ぐ仕組みの現状.日本医療マネジメント学会雑誌. 23(1) 14-19, 2022.

教育の概要

学部


  1. 統合型社会医学演習/6年次
    統合型社会医学演習は、医師国家試験で求められる社会医学に関する基礎知識、最新の動向に関する知識を獲得するとともに、社会に出たときに必要とされる問題発見、課題解決を重視した技法の獲得を目的とする。その中で、EBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づいた医療)についても学ぶ。EBMは、科学的根拠(Evidence)に基づいて最適な医療・治療を選択し実践するための方法論である。医療の標準化、すなわち質の確保と効率性の追求という点で、医療システムの再構築とも密接な関連を持つ概念であり、医学生にとって、良質な医療の実践・医療システムの理解という両面から必須の基本的知識となっている。

  2. 公衆衛生学/3年次
    包括的医療では保健・医療・福祉はそれぞれ別個のものではなく、社会の中で相互に密接に結びついている。学生には医療と社会との関連を理解することが期待される。学習目標は、医学と社会との関連を学ぶこと、社会医学の実践を学ぶことである。公衆衛生学は主として対人保健を担当する。

  3. 統合型社会医学実習/4年次
    医師が社会に出たときに必要とされる問題発見、ソルーションを重視した技法の獲得を主な目的とする。グループ実習として実施されるため、実際の状況に応じた、チームの一員としての役割、リーダーシップも合わせて要求される。学習目標は、社会医学的な問題を認識し解決する方法を学ぶこと、研究計画をデザインして進める方法を学ぶことである。
    なお、実習では研究成果の発表方法を学ぶ。すなわち、研究計画の立案と研究実施、結果の集計、統計学的処理の実施、論文原稿作成、結果を報告し、それを専門誌に発表する手順を模擬的に学習できるように計画されている。

大学院

医療政策経営科学/修士課程1年次
 医療政策、医療制度、医療経済、医療経営、医療の質、医療安全等について学ぶ。近年の医療政策と医療制度上の大きな変化は、社会にも大きな影響を与えている。また、医療の質や安全性、医師不足などへの関心の高まりから、本領域における研究活動は活発化している。修士課程では教員の指導の下、与えられた課題の解決に向けて各種の調査研究を行い、その結果に基づいて研究成果をまとめ、学会で発表し、論文にまとめることが重要である。

医療政策経営科学/博士課程1年次
 医療政策、医療制度、医療経済、医療経営、医療の質、医療安全等について学ぶ。ここ数年、医療政策と医療制度は大きく変化し、社会にも大きな影響を与えている。また、医療の質や安全性、医師不足などへの関心の高まりから、本領域における研究活動は活発化している。その最新の知見は、講義や学会、学会誌、病院団体の検討会等を通じて学ぶ。博士課程ではその中に自らの課題を見出し、その解決に向けて各種の調査研究を行い、その結果に基づいて研究成果をまとめ、学会で発表し、論文にまとめることが重要である。
お問い合わせ先

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