医学部

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生理学講座細胞生理学分野

所属教員名

高松 研  / 教 授
三輪 尚史 / 准教授
浜之上 誠 / 准教授
小林 正明 / 講 師
田丸 輝也 / 講 師

運営責任者

講座の概要

 1959年(昭和34年)、本学に大学院を開設するにあたり、教育研究体制の拡充が求められ、生理学第2講座として設置されました。初代教授として塚田裕三先生を迎え開講され、1965年~1992年に平野修助先生、1982年~1997年に野口鉄也先生が教授を務められました。1994年からは高松が教授として教室を運営しています。2005年から組織再編により生理学講座細胞生理学分野と改称されました。当講座は、開設時より神経系の機能を担う分子基盤の解明を研究のメインテーマとしています。

研究の概要

 当講座では、主に神経系を中心とした細胞レベルの機能や形態形成の調節機構に対して、物質的な側面から迫る生理化学的な研究を行っています。
  1. カルシウムイオンによる神経情報制御機構の解析
     高次神経機能を制御する入力刺激依存性の神経細胞の応答性の変化は、細胞内カルシウムによって調節を受けており、カルシウム情報はカルシウム結合タンパク質によって伝達されています。当講座では、神経系の細胞に特徴的に発現するカルシウム結合タンパク質群(NCSファミリー)を見出しています。中でも海馬神経細胞に特徴的に発現するHPCAについて、活動電位発生制御、細胞障害に対する抑制、アルツハイマー病のAβ毒性の緩和などの多彩な機能に預かることを明らかにしてきました。現在、精神神経疾患の診断マーカーとして有用性を検討しています。
  2. 概日リズムを制御する細胞内シグナルの解析
     全身の細胞に分子時計があり、地球の自転に合わせた約24時間周期の概日リズムを刻んでいます。分子時計は、時計遺伝子Bmal1、Cry等を中核とする転写・翻訳/翻訳後修飾のフィードバックループにより約24時間周期の振動を生み、様々な環境変化に生理機能を適合させる時刻同調の振動制御機構を有しています。当講座では、キナーゼCK2活性が日周性に変動すること、CK2がBMAL1をリン酸化しBMAL1のリン酸化状態が核・細胞質間移行を調節することで分子時計の時刻調節を担うこと明らかとしてきました。また、活性酸素等の細胞ストレスによる時計同調機構を解析し、分子時計とヒートショック応答系がクロストークして適応・応答ネットワークを構成していることを明らかにしています。最近、CRYが従来の転写制御に加えてCK2活性のネガティブフィードバックを担うことを見出し、概日リズムの環境適応機構として注目され、解析を進めています。
  3. 神経幹細胞の増殖・遊走能促進機構の解析
     神経幹細胞は自己増殖能・遊走能・多分化能を保持した細胞で、神経系の機能再生に内在する神経幹細胞の活性化が役立つことが期待されます。当講座では、神経幹細胞に特異的に発現するリン酸化酵素であるp38MAPキナーゼと、アスパラギン酸結合型糖鎖転移酵素のGnT-Vの神経幹細胞における機能を解析しています。最近、p38MAPキナーゼ阻害剤が神経前駆細胞の遊走能を阻害すること、細胞膜透過性を持たせたp38MAPキナーゼタンパク質を細胞外投与することによって、神経前駆細胞の遊走能を著明に増強できることを見出しました。遊走能促進の分子機構の解析とin vivoにおける活性化の検討を進めています。
  4. 神経膠細胞による神経機能再生促進機構の解析
     神経膠細胞は神経細胞の生存維持に加え、細胞死からの保護や機能再生に関与することが明らかになっています。当講座では、神経膠細胞の1つであるミクログリアに着目し解析を行っています。最近、細胞外のp38MAPキナーゼがミクログリアを活性化し、成長因子の分泌とともに貪食能を促進することを見出しました。これら活性化の分子機構の解析を進めています。
  5. 受精成立過程における精子-卵相互作用の制御機構の解析
     受精における精子と卵の相互作用は、種特異的で巧妙に調節されています。当講座では、精子と卵を取り囲む卵保護膜の相互作用を明らかにするために、アフリカツメガエルから見出したダイカルシンの受精調節機能の解析を進めています。ダイカルシンが卵保護膜を構成する細胞外フィラメントに結合し、フィラメントの3次元構造を制御することにより精子との相互作用を調節していることを見出しました。さらに詳細な分子機構を解析するとともに、ヒトを含めた動物の受精調節の解析を進めています。

代表論文

  1. Kobayashi M, Masaki T, Hori K, Masuo Y, Miyamoto M, Tsubokawa H, Noguchi H, Nomura M, Takamatsu K: Hippocalcin-deficient mice display a defect in cAMP response element-binding protein activation associated with impaired spatial and associative memory. Neuroscience133: 471‒484, 2005
  2. Hirayama J, Sahar S, Grimaldi B, Tamaru T, Takamatsu K, Nakahata Y, Sassone-Corsi P: CLOCK-mediated acetylation of BMAL1 controls circadian function. Nature 450: 1086-1090, 2007
  3. Tamaru T, Hirayama J, Isojima Y, Nagai K, Norioka S, Takamatsu K, Sassone-Corsi P: CK2alpha phosphorylates BMAL1 to regulate the mammalian clock. Nature Structural & Molecular Biology 16: 446-448, 2009
  4. Kobayashi M, Takamatsu K: Hippocalcin. Nature Signaling Gateway doi:10.1038/mp.a004097.01. 2009
  5. Miwa N, Ogawa M, Shinmyo Y, Hiraoka Y, Takamatsu K, Kawamura S: Dicalcin inhibits fertilization through its binding to a glycoprotein in the egg envelope in Xenopus laevis. J Biol Chem 285: 15627-15636, 2010
  6. Kobayashi M, Hamanoue M, Masaki T, Furuta Y, Takamatsu K: Hippocalcin mediates calcium-dependent translocation of brain-type creatine kinase (BB-CK) in hippocampal neurons. Biochem Biophys Res Commun 429: 142-147, 2012
  7. Miwa N, Ogawa M, Hanaue M, Takamatsu K: Fertilization competence of the egg-coating envelope is regulated by direct interaction of dicalcin and gp41, the Xenopus laevis ZP3. Scientific Reports 5: 12672, 2015
  8. Tamaru T, Hattori M, Honda K, Nakahata Y, Sassone-Corsi P, van der Horst GTJ, Ozawa T, Takamatsu K: CRY drives cyclic CK2-mediated BMAL1 phosphorylation to control the mammalian circadian clock. PLOS Biology 13: e1002293, 2015
  9. Hamanoue M, Ikeda Y, Ogata T, Takamatsu K: Predominant expression of N-acetylglucosaminyltransferase V (GnT-V) in neural stem/progenitor cells. Stem Cell Res 14: 68-78, 2015
  10. Hamanoue M, Morioka K, Ohsawa I, Ohsawa K, Kobayashi M, Tsuburaya K, Akasaka Y, Mikami T, Ogata T, Takamatsu K: Cell-permeable p38 MAP kinase promotes migration of adult neural stem/progenitor cells. Scientific Reports 6: 24279, 2016

教育の概要

学部

  • 生体の機能1-③ 消化・吸収ユニット(1年次3期6コマ)
    消化器系における栄養素の摂取・消化・吸収と排便機構、腸内細菌叢および腸管免疫系について学びます。
  • 生体の機能1-③ 内分泌・生殖ユニット(1年次3期10コマ)
    ホルモンによる内部環境の恒常性維持および生殖機能の調節の機構について学びます。
  • 生体の機能1 生体の機能1実習ユニット(1年次3期30コマ)
    細胞の興奮とイオン組成、神経・筋、呼吸と循環、尿の生成とクリアランス、脳波、運動負荷と呼吸循環応答の項目について実習を通じて学びます。
  • 課題解決学習 基礎編2 PBLテュートリアルIIユニット(2年次2期15コマ)
    病態をテーマにした課題について、小人数グループで討論し、自ら学習項目を定めて学びます。プレゼンテーション、レポートを作成し学びの深達度を高めます。
  • 生体の機能2 運動機能(2年次1期10コマ)
    運動中枢、反射、随意運動(錐体路)、運動の制御(大脳基底核、小脳)、運動の企画・遂行について学びます。
  • 生体の機能2 感覚機能(2年次1期9コマ)
    一般感覚(体性感覚、内臓感覚)と特殊感覚(視覚、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚)について、受容器、細胞内情報変換機構、感覚伝導路、感覚情報の処理・認識機構について学びます。
  • 生体の機能2 高次中枢・自律機能(2年次1期11コマ)
    高次神経機能、本能行動、情動行動、自律機能について学びます。

大学院

  • 医学研究科修士課程 共通選択科目 分子生理学特論(2単位、講義)
    生体の恒常性維持を担う細胞間の情報交換の基本原理を神経細胞の情報処理機構を学ぶことによって理解を目指します。それぞれの事項について、歴史的実験事実に基づく帰納的考え方、遺伝子改変等に基づく演繹的研究などを概説します。
  • 医学研究科修士課程 専攻科目 代謝機能制御系 細胞生理学(16単位、演習・実習)
    神経細胞の構造と機能を支える分子(伝達物質の遊離・代謝や受容体、細胞内情報伝達因子など)について基本的事項を学びます。その上で、神経系の形態形成、機能発現およびこれらの可塑性などについて、細胞・分子レベルでの制御機構を学び、解明されつつある事項について考え、問題点を解決するための実験を共に計画し実施することにより、研究を遂行する能力の獲得を目指します。
  • 医学研究科博士課程 専攻科目 代謝機能制御系 細胞生理学(20単位、講義・演習・実習)
    神経細胞の構造と機能を支える分子(伝達物質の遊離・代謝や受容体、細胞内情報伝達因子など)について基本的事項を学びます。その上で、神経系の形態形成、機能発現およびこれらの可塑性などについて、細胞・分子レベルでの制御機構を学び、解明されつつある事項について考え、問題点を解決するための実験を共に計画し実施することにより、自ら研究を展開していける能力の獲得を目指します。

その他

社会貢献

  • 2012年12月.第1回中学生「未来の医学‐夢‐スクール」(目で見る心臓の興奮と収縮)主催

学会活動

  • 2015年9月. 第246回生理学東京談話会開催 (世話人: 赤羽悟美、高松 研)、東京
  • 2011年3月. 第88回日本生理学会大会、第116回日本解剖学会総会・全国学術集会 合同大会開催 (大会長:慈恵医大・栗原 敏・竹森 重、昭和大医・本間生夫、東邦大医・高松 研、有田秀穂、東京医大・小西真人・金子清俊/順天大医・内山安男)、横浜
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151