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額田豊

人物像

  • 風貌
  •  面長で色は浅黒く、背は高くて骨格が逞しい痩型。
  • 趣味
  •  趣味は特に無く、お酒も嗜みませんでした。
  • 性格
  •  一見豪快なようで、実は用意周到な合理主義者で、経営に長じ、官庁方面との交渉や金融機関との折衝も得意でした。
     

足跡

学生時代

 大学へ入ったばかりの頃、父が45歳で亡くなったため、母と妹、そして晉を含めた弟3人の世話をすることとなりました。
 性来豪放な豊はボート部の主力選手で、1年の大半を隅田川の水の上で過ごすという呑気さで、大学も休みがちでした。しかし、ドイツ語がよくできたので、日本語の参考書がない時代であっても、原書を読みふけり欠席の埋め合わせをしていたそうです。豊はいわゆる試験勉強が嫌いでしたが、内科や外科のような重要科目だけは重きをおいて、日頃から勉強していましたので、それらはずば抜けて好成績でした。

ドイツ留学

 豊はドイツへ留学するために、父の遺財に田畑を売った金を加えて費用を調達しました。
 この留学中に「女性を対象とした医学に基礎をおく科学教育を行うことこそ、わが終生の使命でなければならない」と深く思い定めました。
 これは、ドイツ女性が、良いハウスキーパー振りを発揮しながらも、保健に教養にいそしんでいる様子に感心したためです。
 そして、家庭生活の鍵をにぎっている女性が健康で朗らかで、立派な教養と科学的な素養とを備えていれば、家庭を明るく豊かにすることができ、家族全体、ひいては社会全体が明るくたくましく健やかになっていく、という思いに至りました。
 そのため、精神的にも肉体的にも物質的にも健全な国家社会を造るためには、健全な母親を造らなければならない、と考えました。

病院

 ドイツから帰国した後、豊は額田病院を開設します。
 この頃、珍しかったドイツ帰りの新進気鋭の医者であることと、的確な診断とが評判となり、多くの人が訪れました。その中には、有名な作家・政治家・実業家・軍人なども多くいましたが、どんな人にも開放的で、困った人からはお金をもらわないという運営を行っていました。
額田保養院

 そして7年後には結核療養所である額田保養院(現:額田記念病院)を鎌倉に開設します。
 ここは、都会を離れた静かな場所で、夏は涼しく冬は暖かい、療養所としては好適な土地でした。また外科療法や外気療法、調理室その他の設備の機械化などと相俟って、治療成績は極めて良好であり、死亡率も最初から非常に低かったため、入院希望者が殺到して常に満員状態でした。

学校創立

 帝国女子医学専門学校創立後は、理事長としてもっぱら厄介な金策や地味な経営面に没頭していました。
 豊は教鞭をとったことがなく学生の前にほとんど姿を見せることがなかったため、学生にとっては、馴染みの薄い存在だったようです。しかし、教育方針には随所に豊の考えが表れています。
例えば、
①豊が学生時代にノートを取ることに疑問を抱いていたことから、学生にはノートを取らせず、教科書で授業を進め、補足説明とアンダーライン、心覚えを書きとめるようにさせました。これにより、ゆっくり理解しながら講義に耳を傾けることができました。
②試験の点数や席順は公表しない主義をとりました。そのため学生は、のびのびと余裕を持ちながら、勉強をすることができました。
などということが挙げられます。

その他

 豊は東邦大学の他にも、北鎌倉高等女学校(現:北鎌倉女子学園)の創立や日本大学専門部医学科(現:日本大学医学部)の設置に関わりました。また母校である独逸学協会学校(現:独協学園)においては理事を勤めたこともありました。
 
年表
明治11年(1878)誕生
明治34年(1901)第一高等学校卒業
明治38年(1905)東京帝国大学医科大学卒業
明治40年~42年(1907~1909)ドイツへ私費留学
大正2年(1913)博士(医学)取得
額田病院開設
逓信省医務嘱託
大正4年(1915)『安価生活法』を刊行
大正9年(1920)額田保養院開設
大正14年(1925)帝国女子医学専門学校創立
昭和41年(1966)勲三等旭日中綬章受章
昭和47年(1972)逝去(享年94歳)後、従四位に叙せられる

参考文献

  • 加藤恭亮『東邦大学三十年史』学校法人東邦大学 1955年
  • 加藤恭亮『東邦大学四十年史』学校法人東邦大学 1965年
  • 見学玄編『東邦大学50年史』東邦大学創立50周年記念事業委員会 1978年
  • 世界観研究会編『額田 晉—自然・生命・人間—』西川書店 1972年
  • 世界観研究会編『額田 晉(Ⅱ)—自然・生命・人間—』西川書店 1974年

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2024年03月19日 更新

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